2015 Fiscal Year Research-status Report
移植治療用細胞の遺伝的不安定性の指標となるマーカーの探索
Project/Area Number |
15K12567
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
奥田 一博 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00169228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川瀬 知之 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (90191999)
永田 昌毅 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (10242439)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 再生治療 / 移植用細胞 / 品質管理 / 酸化ストレス刺激細胞 / 遺伝的不安定性細胞 / DNA傷害マーカー / リン酸化H2AX / p53 |
Outline of Annual Research Achievements |
移植治療用細胞の効率的かつ定量的な検査法を模索して、DNA傷害に関連したマーカーについて検討することが目的である。 1)酸化ストレス刺激細胞モデルの作製 患者の同意のもとドナーから骨膜片を採取して組織片培養により細胞をシート状のまま増幅した。直径が40-60 mmになった時点で分散させ実験に供した。ヒト骨膜細胞に対して、X線、γ線、紫外線(UVA or UVC)、あるいはH2O2で酸化ストレスを与えた。染色体検査 (Karyotype test)とCGH (Comparative Genomic Hybridization)法により、染色体異常(コピー数の欠失・過剰)を直接検出した。最も重要なモデル細胞は、検出可能な程度のDNA傷害を引き起こすレベルのストレスを与えることによって、ほとんどの細胞が生存して、一定期間後に再び増殖活性を示すものであり、その条件を見極めた。 2)DNA・染色体以外のキャラクタリゼーション 平行して、細胞の増殖/生存とγ-H2AXの核内集積(foci形成)からDSBsを評価してスクリーニングした。フローサイトメーター(FCM)あるいは免疫蛍光染色(IF)により、細胞表面マーカー(CD73など)、細胞接着因子(integrinなど)、増殖因子受容体(EGFRなど)、細胞周期関連蛋白 (p21, cyclin Dなど)の動態を解析した。FCMにより細胞および核の体積(Electronic volume)を計測評価した。原子間力顕微鏡(AFM)により単一細胞レベルで細胞接着力を計測評価した。接着力は増殖活性の低下や細胞の老化と相関して強くなる傾向があった。βガラクトシダーゼ染色やリン酸化Rbタンパクの発現より生存細胞の老化度を評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
培養骨膜細胞に対して、様々な酸化ストレスを与えた場合、親和性の高い抗体が利用できるリン酸化H2AX(γ-H2AX)とp53の発現を鋭敏に検出できること、特に酸化ストレスが大きい場合は1週間以上にわたって検出できることを発見した。これより酸化ストレス刺激細胞モデルの作成については成功した。このモデルを用いてDNA傷害の解析として染色体検査 (Karyotype test)とCGH (Comparative Genomic Hybridization)法により、染色体異常(コピー数の欠失・過剰)を直接検出した。DNA・染色体以外のキャラクタリゼーションとして細胞の増殖/生存とγ-H2AXの核内集積(foci形成)からDSBsを評価してスクリーニングした。さらにフローサイトメーター(FCM)あるいは免疫蛍光染色(IF)により、細胞表面マーカー(CD73など)、細胞接着因子(integrinなど)、増殖因子受容体(EGFRなど)、細胞周期関連蛋白 (p21, cyclin Dなど)の動態を解析した。次にFCMにより細胞および核の体積(Electronic volume)を計測評価した。原子間力顕微鏡(AFM)により単一細胞レベルで細胞接着力を計測評価した。接着力は増殖活性の低下や細胞の老化と相関して強くなる傾向があった。βガラクトシダーゼ染色やリン酸化Rbタンパクの発現より生存細胞の老化度を評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
1)マーカー分子の探索を行う計画である。 (1)DNA傷害マーカーと分類されている抗体を用いて、Western blot法あるいは免疫蛍光染色 (IF)により、マーカー分子の発現を評価する。文献等で目星をつけながらも、膨大な数の市販品のなかから、特異性が高く、DNA修復後もその痕跡を示すようなマーカーを見つける。経済的なサンプリング・キットなどを積極的に活用する。(2)前項のFCMなどによるキャラクタリゼーションで変化の認められた表面マーカーなどについても、さらに長期間にわたって追跡評価する。(3)メチル化DNAをDNAアレイにより網羅的に解析し、DNA傷害や細胞老化と関連のあるサイトを絞り込む。(4)DNA傷害から回復し、再び増殖活性を示すようになった細胞について、集中的に検討する。 2)日本再生医療学会などでの研究成果発表 研究成果は、日本再生医療学会、日本バイオマテリアル学会、日本歯周病学会、Tissue Engineering and Regenerative Medicine International Society (Termis)などで発表するとともに、論文として国際的な学術誌に投稿する。
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Causes of Carryover |
次の研究が本年度行われていない。1)マーカー分子の探索:(1)DNA傷害マーカーと分類されている抗体を用いて、Western blot法あるいは免疫蛍光染色により、マーカー分子の発現を評価する。市販品のなかから、特異性が高く、DNA修復後もその痕跡を示すマーカーを見つける。サンプリング・キットなどを積極的に活用する。(2)前項のFCMなどによるキャラクタリゼーションで変化の認められた表面マーカーについても、さらに長期間にわたり追跡評価する。(3)メチル化DNAをDNAアレイにより網羅的に解析し、DNA傷害や細胞老化と関連のあるサイトを絞り込む。(4)DNA傷害から回復し、再び増殖活性を示すようになった細胞について、集中的に検討する。2)各種学会での研究成果発表:研究成果は、日本再生医療学会、日本バイオマテリアル学会、日本歯周病学会等で発表するとともに、論文として国際的な学術誌に投稿する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品費として、各種抗体類、細胞・培養関係試薬類、プラスチック器具類、研究成果発表として国内学会出席費用、その他としてCGH(Comparative Genomic Hybridization)法委託解析費用、メチル化DNA委託解析費用、英文雑誌投稿料に使用する計画である。
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Research Products
(2 results)