2015 Fiscal Year Research-status Report
幻肢・幻肢痛から探る身体図式の長期変容神経メカニズム
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15K12572
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大内田 裕 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80510578)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 幻肢 / 幻肢痛 / 身体図式 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度においては、おもに次の3つを行った。1)幻肢痛介入のための実験設備、MRIによる脳画像の撮像手法、解析方法の決定を行い、幻肢痛を有する四肢切断患者をリクルートするためのネットワークの構築をほぼ完了している。2)痛みを有する時と痛みが軽減した時の脳構造の差異を計測する手法と脳領域間の結合を調べる拡散テンソル法の解析手法を検討し、解析手法の決定を行った。3)より幻肢痛を効率良く軽減させることができるように、我々が行っている模倣療法で用いる視覚運動の最適化を行った。我々の臨床経験上、模倣運動を用いた介入を行う場合に、模倣すべきモデルの運動の難易度が高く、切断患者が幻肢で行えない場合に、幻肢痛が強くなる傾向があることを見出している。そのため、切断患者が、幻肢で行える運動の速度や振幅などの変数を知り、その範囲内での運動を摸倣運動のモデルに使わなければならない。そのため、視覚提示するモデルの運動速度を、素早く変化させることが可能なGUI(Graphical User Interface)をプログラムに実装した。 本年度計画では、四肢切断後に生じる幻肢がゆっくりと変化していくときに、脳構造や神経ネットワークがどのような変化が生じるかを調べるため、上肢切断患者において幻肢、幻肢痛を有する研究協力者の募集を行っていたが、本研究課題の対象となる協力者を得ることができなかった。次年度は募集方法・対象者条件等を再検討し、引き続き協力者のリクルートを行い幻肢痛への介入を開始する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
H27年度前半、幻肢痛介入のための実験設備、MRIによる脳画像の撮像手法と解析方法の決定を行い概ね完了している。H27年度後半からは、幻肢痛を有する患者の募集を行い、MRI画像の撮像と幻肢痛への介入を開始する予定であったため、幻肢痛を有し他疾患を有さない四肢切断患者を被験者対象として募集を行ったところ、幻肢痛を有さない患者や、末梢神経障害・糖尿病を併せ有する患者が多く、本研究課題の対象可能となる被験者をリクルートすることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本実験課題の対象可能となる被験者のリクルート方法を変更する。 ①医療機関以外の患者友の会などの組織やグループにまで拡大する。 ②対象被験者を四肢切断直後ではなく、一年以上経過した患者も含める。 ③幻肢痛介入開始後のドロップアウトを減らすために介入頻度をへらす。 ④被験者の募集をホームページなどで行い、宮城県外の被験者も対象とする。
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Causes of Carryover |
実験設備の準備等は完了したが、本実験課題の対象となる被験者をリクルートすることができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究課題の対象可能となる被験者をリクルートするための情報収集を行う。宮城県内外の被験者に対し交通費・謝礼を支払う。また拡散テンソル法や神経画像の撮像料を支払う。
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