2015 Fiscal Year Research-status Report
抗炎症・抗酸化物質と超音波エネルギーの相乗効果に着目した筋萎縮予防法の創成
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15K12584
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
前重 伯壮 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (90617838)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三好 真琴 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (50433389)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 超音波療法 / 筋萎縮 / 筋管細胞 / 短鎖脂肪酸 / ω-3系多価不飽和脂肪酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
<細胞培養の実施>筋芽細胞株C2C12を10%FBS含有の増殖培地にて90%コンフルエントまで増殖させた状態で、2~4%HS含有の分化培地での培養を開始することで筋管細胞に分化することが確認され、実験に用いる培養系が確立した。 <筋萎縮モデルの確立>リポポリサッカライド(LPS)を筋管細胞に添加して、p38 MAPKの活性化により萎縮が惹起されることが確認された。 <超音波照射による予防効果の検出>Spatial Average Temporal Peak強度0.5W/cm2の20%パルスモード超音波の照射により、1 ug/ml濃度のLPSにより惹起される筋管細胞萎縮が抑制されることが明らかになった。その背景として、p38 MAPKの活性化抑制が確認された。 <脂肪酸濃度の検討>短鎖脂肪酸(酪酸、プロピオン酸)、ω-3系多価不飽和脂肪酸(ドコサヘキサエン酸;DHA、エイコサペタエン酸;EPA)ともに、高濃度の適用によって酸化ストレスが生じ、細胞障害性を示すことが報告されている。4 mM以上の酪酸、および100μMのDHA、EPA添加で筋管細胞の萎縮が確認された。低濃度の脂肪酸を用いて抗炎症作用、および筋萎縮予防効果の検討を行う必要性が示唆された。 <in vivoモデルの確立>ラットに対するLPS腹腔内投与により,筋萎縮が惹起されることを確認した。 <成果報告>超音波照射による筋萎縮抑制効果について、Experimental Biology 2016(San Diego)にて学会発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
筋管細胞の培養系およびLPSによる筋萎縮モデルを確立することができ、それに対する超音波療法の効果を検出できた。抗炎症作用による筋萎縮抑制を期待する短鎖脂肪酸、ω-3系多価不飽和脂肪酸については、脂肪酸による筋萎縮抑制作用の検出には至らなかったが、筋管細胞に対して適用可能な濃度が明らかになり、萎縮の定量方法も確立したため、次年度以降の実験を円滑に行うための基盤が構築された。また、in vitro実験の次に予定しているin vivo実験で採用するモデルの適切性がすでに確認された。これらの点から、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
LPS添加による筋萎縮の抑制ついて有効な脂肪酸およびその至適濃度を明らかにし、効果が見出された脂肪酸と超音波療法の併用効果を分析する。in vivo実験についても実施し、超音波療法による筋萎縮抑制効果について検討を進める。
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Causes of Carryover |
脂肪酸添加による筋萎縮抑制作用の検討について、予定していた試薬・消耗品を用いる解析に進まなかったため、その分の経費を次年度使用額とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
脂肪酸添加による筋萎縮抑制作用の検討を中心に次年度使用額を使用する。
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