2015 Fiscal Year Research-status Report
構音発達と音韻認識の関係-低年齢向けの音韻認識課題の作成と縦断的調査
Project/Area Number |
15K12589
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Research Institution | Kyoto Gakuen University |
Principal Investigator |
弓削 明子 京都学園大学, 健康医療学部, 助教 (00746117)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
苅安 誠 京都学園大学, 健康医療学部, 教授 (00320490)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 構音 / 音韻認識 / 言語発達 / 語音の弁別 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、乳幼児期の音韻認識能力を知る課題を作成すること、その課題を用いて縦断的調査を行い、早期(2~3歳)に正確な構音を獲得した子どもとそうではない子どもとでの音韻認識の達成度と構音の獲得状況を比較し、構音の発達に音韻認識が影響するのかを明らかにすることが目的である。そのために初年度は、音韻認識課題の作成と、データ収集・分析方法の確認・検討を行った。
乳幼児期の音韻認識能力の課題で使用する刺激音の作成を行った。作成には、音声合成ソフトウエアHigh-Level Parameter Speech Synthesis System(Klatt)を使用した。フォルマントや構音操作を考慮して音響パラメーターの数値を入力することで合成音声ができ、より自然な発話に聞こえるように試作を重ねた。計画では「子音+母音」の音節を刺激音とすることを考えていたが、作成して視聴すると、破裂音の場合は破裂の前の閉鎖区間がある分遅れたように聞こえた。そのため、どの子音でも条件を統一すること、破裂子音の音響的特徴を欠かないように「母音+子音+母音」を刺激音とすることとした。 この課題での反応を記録する方法についても再検討した。条件詮索反応を応用した方法を用い、課題達成の基準、検査方法を確認した。そのほか、構音障害児の音声サンプルを収集し、予備的ではあるが音響分析を行った。子どもの発話で子音の弱音化や歪音を対象としたが、分析結果を数値化することは困難であった。さらに、音韻認識能力が育つ前の語音弁別に関して神経学的な評価(事象関連電位)を加えることとし、そのセッティングを行った。刺激提示ソフト(E-prime)のプログラム作成や、脳波機器の手技確認、分析の練習を重ねた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
低年齢向けの音韻認識課題、事象関連電位で提示する音声刺激を合成音声機器で作成したが、当初予定していたシンセサイザ・プログラムでは作成した音に歪が生じることがわかり、作成ソフトを変更したため時間を要した。
研究計画に事象関連電位を加えたため、脳波機器・刺激提示のためのプログラムソフト(E-prime)の取り扱いや、データ取得の準備、さらにデータ取得後の分析の方法の成熟に時間がかかってしまった。また、脳波機器のセットアップに不備があり、その不具合を修正することにも時間を要した。
「低年齢向けの音韻認識課題作成」および「事象関連電位を用いた語音弁別の検討」ともに倫理委員会の承認が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
①低年齢向けの音韻認識課題作成は、提示する合成音声が間もなく完成する。低年齢の対象児の募集を近隣保育園・幼稚園に依頼し、夏にはデータ収集が開始できると考えている。夏から年内の間で音韻認識課題を適応月齢時に実施し、その結果を分析する。その後、来年以降は縦断的調査に入る予定である。
②事象関連電位を用いた研究も①と並行して行う。データ分析の方法と提示する音声刺激・提示するプログラムの微調整をすればデータ収集が可能であり、まもなくデータの収集が始められる。構音障害児・定型発達児のデータを収集し、結果を比較したい。
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Causes of Carryover |
研究計画の遅れにより、当初予定していた研究参加者やデータ分析者への謝金、学会発表の旅費を使用しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
データ収集を開始すると、研究参加者への謝金と、検査シートの購入のために使用する必要がある。データ収集のための交通費、学会への旅費も必要になる。
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