2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K12597
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
和田 安弘 長岡技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70293248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大石 潔 長岡技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40185187)
南部 功夫 長岡技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40553235)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 等時性 / 脳波 / 機能的結合 / 位相同期 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究のアプローチは、ヒト運動制御に関する脳科学的計算論的アプローチの知見をベースに、筋電や運動計測技術による身体運動計測と脳のイメージング計測の両方を組み合わせて、運動機能の変化を計算論モデルから評価し、運動機能の変容を抑制するプログラム開発に結びつける研究開発を実施するものである。本年度は、ヒト腕運動において、良く観測される等時性現象(八の字のような大小の円を続けて書く場合に、運動距離が異なるにもかかわらず、運動時間が等しくなる現象)に注目した。また、我々は既にこの等時性現象を運動指令的な立場から説明する計算論的なモデルを提案している。 上記の目的に基づいて、本年度は、以下の研究を推進した。 (1)等時性が観測される運動(8の字、2重楕円運動)中の運動軌道、筋電、脳波(EEG)を同時計測し、健常被験者6名分のデータを計測した。まず、この計測データの運動軌道、筋電のデータを使って、提案している計算論的モデルの妥当性の検証を継続している。これと並行して、EEGデータの解析も開始し、EEGデータと運動軌道(等時性)との関係の解析を開始した。 (2)EEG解析方法の検討。心的回転課題を用いて、時間分解能の高い脳波(EEG) を用い,同じ行動を繰り返し選択した場合(repeat) と直前と異なる行動を選択した場合(switch) の2 条件でのEEG の位相同期に着目した機能的結合の時系列解析を行うことで想起する運動の履歴が行動の選択に対し脳活動がどのように変化するかを考察した。本課題と実験課題は異なるものであるが、この結果をもとに上記(1)の解析への適用の検討を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、基本的に以下の研究計画を立てており、概ね予定通り進捗している。 8の字や2重楕円のような比較的的大きな運動におけるEEGの計測の可能性を検討し、手先の運動、筋電及びEEGを同時計測し、健常者での計測及びデータ解析を進め、健常者のデータを集積する。また、EEGの計測の可能性も検討し、脳領野間の構造的ネットワークと機能的ネットワークの推定の可能性を検討する。次にダイナミクスレベルでのモデルをプラッシュアップし 、筋電信号、脳活動を合わせた計算論的モデルの検討を実施。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度以降は、平成27年度の研究を継続して推進するとともに、同様の計測を老年の被験者に対して実施可能かを検討し、可能であれば若年者との比較検討を進める。もし、老年被験者の計測が難しい場合には、模擬的なダイナミクスの変更による影響等の検討を進める。 手先の運動については、8の字や2重楕円のような運動以外に、Fitts' Lawについても、筋剛性とともに精度と時間の関係を検討する。筋電レベルでは、筋シナジー解析による結果を利用して、加齢あるいはダイナミクスの変化に伴う変容が表れていないかを検討する。また、EEGについては、平成27年度での検討で、運動中の計測に問題がなければ、脳領野間の構造的ネットワークと機能的ネットワークに関して、さらなる検討を進める。
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Causes of Carryover |
当初、fNIRSの保守を予定していたが、EEGを主として研究を実施したため、今年度の支出を見送ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
基本的には、fNIRSの一部プローブの更新等を計画する。EEGの結果次第では、fNIRSの保守を延期して、成果発表等に充てる予定である。
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