2016 Fiscal Year Research-status Report
高齢者が安全に実施できる新しい咽頭期嚥下リハビリ手技の評価
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15K12602
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
小山 善哉 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (90253682)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 摂食嚥下リハビリ / 高齢者 / 認知機能低下 |
Outline of Annual Research Achievements |
簡便で呼吸器への負担が少なく、高齢者や認知症者でも安全に実施できる“咽頭期”嚥下リハビリ手技の開発に取り組み、ブローイング訓練用逆止弁付きストローを開発した。昨年度までは既存のストローを切断し市販逆止弁を組み込む形状で凹凸のあるストローと言うには不格好で製作費も高価となっていた。今年度はよりシンプルなストロー形状で安価な逆止弁付きストローの開発を目指し、平成28年6月、中央に穴(直径5㎜)を開けたドーナツ状ポリプロピレン板(直径11㎜,厚さ2㎜)にシリコン薄板(直径11㎜,厚さ0.3㎜)を1/4の面積で接着した独自の逆止弁を作製し、スムージー用ストロー(直径13㎜×長さ21㎜)の口側50㎜の内腔に付加してシンプルな形状で安価な逆止弁付きストローの試作に成功した。 次いで、同ストローの呼吸器への負担を評価するために、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科・内部障害リハビリテーション学分野(東嶋美佐子教授)とサイエンスリサーチ社(長崎市旭町)共同開発の簡易型呼気圧計(特願2013-116848)を用いた呼気圧測定研究を計画し、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科倫理委員会の承認(平成28年7月26日付)を受けた。サイエンスリサーチ社に依頼し、呼気圧計に装着するための加工を、開発した逆止弁付きストローと、巻笛や管腔に穴を開けた逆流防止ストローなど比較測定実施する各種ブローイングツールを準備し、平成29年3月に健常成人の研究対象者を公募し16名の希望者を得て、5月中に呼気圧測定を実施予定である。研究成果は日本摂食嚥下リハビリテーション学会の学術大会で発表、学会誌への投稿を計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、高齢者や認知機能低下者でも安心して咽頭期嚥下リハビリテーションのブローイング訓練(水を入れたコップにストローを差してブクブクと息を吹き込む)できるように、逆止機能付きストローの開発が重要な課題であった。今年度、機能的でシンプルかつ安価な試作品の開発に成功した。 高齢者等が無理なく安全に実施できるためには、呼吸器の負荷が少ないことは必須条件である。検証のための簡易呼気圧計も準備できており、長崎大学医歯薬学総合研究科の倫理委員会の承認も得て、呼気圧測定の実証は平成29年5月と間近となっている。次いで、高齢者や認知機能低下者を対象とした同ストローブローイング訓練の効果の検証および、ブローイング訓練時の咽頭圧計を用いた咽頭圧測定を計画しているが、サイエンスリサーチ社協力により同ストローは量産可能であり、研究推進の体制は整っている。
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Strategy for Future Research Activity |
健常成人を対象とした呼気圧測定研究については、すでに倫理委員会の承認も受け、平成29年5月に実証研究は開始予定である。高齢者や認知機能低下者を対象とした訓練効果の検証研究やブローイング訓練時の咽頭圧研究については、長崎大学医歯薬学総合研究科の倫理委員会の審査に向けて準備している。
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Causes of Carryover |
当初予定していた逆止弁付きストロー開発が順調に進み、開発費用が削減できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、臨床研究用ストロー作製や研究対象者への謝金、関連学会等学術学会発表旅費や学会誌投稿費等を計画しており、今年度と次年度の助成金の活用を計画している。
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