2016 Fiscal Year Annual Research Report
A study on the effects of intervention for posture and balance ability on swallowing function
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15K12604
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Research Institution | Hirosaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
藤原 健一 弘前医療福祉大学, 保健学部, 教授 (80325951)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 嚥下機能 / 姿勢 |
Outline of Annual Research Achievements |
姿勢・姿勢バランスと嚥下機能の関連を検討する目的で,運動器疾患に対する介入を実施しているが嚥下機能への介入が行われていない地域包括ケア病棟入院患者24名を対象に,姿勢・姿勢バランスと嚥下機能を調査した.調査の結果,姿勢・姿勢バランスと嚥下機能は男女差が認められなかった.しかし,食事姿勢は加齢とともに体幹が後傾していた.また,反復唾液嚥下テストの嚥下回数が減少し,約2割で嚥下機能の障害が疑われた.さらに,喉頭の下降が口腔関連QOL(GOHAI)の低下や体幹後傾と関連し,頭部の位置がGOHAIと関連した.このことから,食事姿勢における頭頸部および体幹の崩れが嚥下機能の低下に影響を与える可能性が示唆された. 次に,姿勢・姿勢バランスの改善が嚥下機能の改善に繋がるのかを検証する目的で,デイケアを利用している利用者6名を対象に,姿勢・姿勢バランス訓練の効果を検討した.対象者の診断名は,変形性膝関節症5名(うち,両側人工膝関節置換術後3名),両側人工股関節置換術後1名,変形性脊椎症1名であった(重複あり).なお,いずれも嚥下機能に対する介入が行われていない利用者である.介入は,姿勢・姿勢バランス訓練とし,椅子座位と立位(椅子につかまり立ち)で行う上下肢・体幹の12種類の自動運動を深呼吸も含め週1回,2ヶ月実施した.その結果,円背姿勢の改善に加えて,嚥下時の舌骨上筋群および舌骨下筋群の潜時に有意な短縮が認められ,嚥下運動における筋活動開始が早期化した.また,GOHAIでは,嚥下運動の準備期から口腔期に関する設問で改善傾向が認められた. 以上のことから,嚥下機能の低下は,脳卒中等の口腔・咽頭機能障害を呈する疾患のみならず姿勢・姿勢バランスの低下を来す運動器疾患においても認められ,さらに,姿勢・姿勢バランスへの介入が嚥下機能の改善に繋がることが示唆された.
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