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2015 Fiscal Year Research-status Report

手術の質向上のための手術用マルチセンシングガーゼカウンタの開発

Research Project

Project/Area Number 15K12608
Research InstitutionTokyo Health Care University

Principal Investigator

山下 和彦  東京医療保健大学, 医療保健学部, 教授 (00370198)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2017-03-31
Keywordsガーゼカウンタ / 看護支援 / 医療過誤予防 / 手術
Outline of Annual Research Achievements

本研究では手術室で使用可能なマルチセンシングガーゼカウンタを開発することを目的としている.本年度は,ガーゼの撮像制御を行う回転台の開発,得られた画像の画像処理部の開発,ガーゼ枚数の精度検証と解析アルゴリズムの開発を行った.a.ガーゼの撮像のための回転台の開発として,ステッピングモータと制御プログラムを開発し構成した.これ以外の検討の要素として画像検出部が挙げられるが,現在2種類の基礎実験を進めている.1つはフラットパネル,もう1つは蛍光紙を用いたものである.フラットパネルは実現可能性が高く,もう一方の蛍光紙はフラットパネルの1/10以下の金額に設定できるため,両方の評価検証を進めている.結果より,撮像対象となるガーゼの鋼線は1mm程度であることから,フラットパネルでは十分に解析に耐えうるデータが得られた.蛍光紙の場合はノイズが大きく,撮像後の画像処理に負担がかかること,撮像時の制限が大きいことがわかった.合わせて,針の混入等についても検証を進めている.b.画像処理部については,上記の2方式について画像処理部の開発を進めている.フラットパネルの場合,CTの3次元再構成のアルゴリズムを適用し,いくつかのノイズ処理等の手法を適用することで概ね目標レベルの解析が可能となった.本手法では回転台の中心に対象物を置かなくても,検出が可能であるよう開発を進めている.c.蛍光紙の実験については,X線出力,撮像環境などの基礎実験を繰り返している.ガーゼは乾燥時,血液等の付着時で結果に大きな影響を与えているため,まだ実験の必要がある.d.ガーゼ枚数の解析アルゴリズムについて,bのフラットパネルの実験では基礎的データが得られた.
bとcについては,特許性の高い検出方式を開発している.cに適用するにはノイズ除去の前処理が必要となるが,大幅に価格を下げられる可能性があることから,検討を続けることとする.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究は概ね順調に計画が進んでいる.2015年度に計画していた内容はほぼ検討が進められている.画像検出部においてフラットパネルであれば,ほぼ間違いなく対象データの取得は可能であり,順調といえる.一方で,チャレンジングな点として,蛍光紙を用いた場合には高度な画像処理と実験環境の設定が必要となる.この点については,まだ解決の出口は見えていない.考えられる手法を試しているところであり,8か月以内には解決の糸口を見つけたい.ここでは,撮像方法の変更も視野に入れる.すなわち,画像のステレオ化や出力を変更することでコントラスト等を変え,確率論的解析手法などを用いることで精度向上を図る.
ガーゼ枚数のアルゴリズム開発では,10枚までの実験を検証した.実験方法は,乾燥時,血液付着時(複数の条件を設定),生理食塩水等を採用している.その結果,すべての条件下で大きな問題はなく検出が可能であることがわかった.ここには,X線管の出力や回転台の条件が寄与していることもわかった.すなわち,最適条件下であれば画像処理上の複雑な前処理を行わなくてもガーゼ枚数の検知が可能であることを示している.
さらに,画像検出時にいくつかのプログラムを付け加え,検出対象が回転中心になくても精度よくデータ抽出可能なよう構成できた.これは実用に向けて大きな点であり,慎重にガーゼの置き位置の設定をする必要がないこと,同じガーゼセットを複数回検出しても同じ結果が精度よく得られることが利点として挙げられる.
ここまでで,X線管等と組み合わせることでガーゼカウンタの基礎的構築が実現できる.評価用PC,X線が漏れないように遮蔽するケースを組み合わせ,ハードウェアの開発を進めている.以上より,概ね順調に計画が進んでおり,次年度の計画に向けて円滑に展開されている.

Strategy for Future Research Activity

ここまで概ね順調に計画が進められており,今後の大幅な計画変更はない.今後行うフィールド実験にはフラットパネル方式を採用し準備を進めている.一方で,安価に展開できる蛍光紙タイプの基礎的研究も継続的に進めることとする.蛍光紙は精度が悪いことがわかっていたため,画像処理の負担が大きいことも予測できていた.そのため,画像処理の手法についても検討を並行して進めていたため,継続的に検討することで今後の展開に有利であると考えている.
2016年度は,ここまでの基礎的検証により,マルチセンシングガーゼカウンタの試作を行う.フィールド実験を行うために,様々な実験条件を想定する必要がある.そこで,エラー検知のための指標の開発を行う.これまでの基礎的実験の中で,X線管の出力の揺らぎ,あるいは予測不可能な要素により得られる出力結果が大きく変化することがあった.これに気が付かないとエラーの要因となることがわかっているため,この対策を行う.これはガーゼ枚数を導出アルゴリズム部分にチェック機能を持たせることで対応ができる.
2016年度の後半で医療機関におけるフィールドテストを予定している.フィールドテスト先は京都第二赤十字病院を計画し,倫理審査の取得を進めている.今回のフィールド実験は手術前に使用前のガーゼ枚数を本システムにより調べ,手術終了後にまとめられたガーゼをカウントすることから手術自体に影響を与えないため倫理審査の要件は容易である旨の回答が得られている.以上より,2016年度に向けて円滑に計画が進められている.

Causes of Carryover

経費は概ね予定通りに支出した.開発のハードウェアにフラットパネル方式と蛍光紙方式の2つを並行して開発しているため,実験回数や画像処理に学生アルバイトを用いたため人件費が多く支出され,一方で,論文投稿が年度内に採択にならなかったため,支払いが2016年度に繰り越されたことによる残額が生じている.

Expenditure Plan for Carryover Budget

残額の約14万円は2016年度の論文投稿費で使用する予定である.
2016年度分の予算は,引き続きガーゼカウンタのハードウェア開発,ソフトウェア開発,および医療機関でのフィールドテストを行う費用として使用する計画である.

  • Research Products

    (2 results)

All 2016 2015

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Acknowledgement Compliant: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] Management of surgical instruments with radio frequency identification tags: A 27-month in hospital trial2016

    • Author(s)
      Kusuda K, Tanaka K, Yamashita K, Ohta Y
    • Journal Title

      International Journal of Health Care Quality Assurance

      Volume: 29 Pages: 236-247

    • DOI

      10.1108/IJHCQA-03-2015-0034

    • Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
  • [Presentation] 体内遺残防止のためのガーゼカウントシステムの開発2015

    • Author(s)
      山下和彦,楠田佳緒,田中聖人,徳田洋子,森田公子,田中慎一,太田裕治,大久保憲
    • Organizer
      第54回日本生体医工学会大会
    • Place of Presentation
      愛知県名古屋市
    • Year and Date
      2015-05-07 – 2015-05-09

URL: 

Published: 2017-01-06  

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