2015 Fiscal Year Annual Research Report
活動および身体状態の違いが電気刺激によるサイトカイン発現に与える影響
Project/Area Number |
15K12612
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
百田 貴洋 藤田保健衛生大学, 医療科学部, 助教 (30597638)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | サイトカイン / 電気刺激 / 悪液質 / マイオカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
悪液質は,がん関連サイトカインによる異化亢進や代謝異常,食欲不振などが複雑に関連して形成する栄養不良状態である.単純な飢餓と異なり十分な栄養投与を行っても改善が困難である.近年,がん悪液質に対する運動療法の有効性が示されつつある.これには筋から放出されるサイトカイン(マイオカイン)のがん関連サイトカインに対する拮抗作用が関与する.しかし,悪液質を生ずるような患者では,不活動やサルコペニアなどの廃用状態にあることが多く,その影響下にある筋が,運動や電気刺激に対してどのようなサイトカイン動態を生ずるか明らかでない.そこで,運動が生体に与える影響を知るため,健常成人を対象に筋電気刺激を行い,唾液中サイトカインと身体機能・活動量との関連について比較検討した.結果,以下の3点について明らかになった.1)電気刺激後のサイトカイン分泌が唾液を試料として計測できる可能性がある.これにより,悪液質患者に対する運動療法や電気刺激療法に対するサイトカイン応答を患者に負担をかけずに計測できる.2)マイオカインとして報告されていないケモカインについても電気刺激後に反応を認めた.筋電気刺激に対する応答としては,多くのマイオカインで電気刺激後の反応を認めたが,マイオカインだけでなく他のサイトカインの影響についても考える必要があることが明らかになった.3)筋電気刺激後の発現量が,多くのサイトカインにおいて身体機能・活動量との間に相関を認めた.身体機能・活動量などにより運動や電気刺激に対する身体の反応が異なる可能性があり,臨床介入においても十分に留意する必要がある.今回の網羅的解析によって得られた結果から,特定のサイトカインをより定量性の高い計測法を用い,介入効果や臨床症状の変化と合わせ縦断的に検討していく必要がある.
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