2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K12619
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
多賀 厳太郎 東京大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (00272477)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 三枝 富山大学, その他の研究科, 准教授 (70209485)
檀 一平太 中央大学, 理工学部, 教授 (20399380)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 脳 / 頭蓋 / 発達 / 進化 / 形態 |
Outline of Annual Research Achievements |
新生児から成人に至る脳と頭蓋の形態の特徴点を抽出し、発達によるサイズと形態の変化を明らかにすることを目的とする研究を行った。 ・発達期の頭部MRI画像から頭蓋及び脳の特徴点の抽出 生後2ヶ月から22ヶ月の乳幼児の頭部の磁気共鳴画像(MRI)16ケースを分析の対象とした。頭蓋の特徴点として、鼻根・後頭極・左右耳等の点を定義した。また、大脳皮質の脳回や脳溝の形態を反映する特徴点として、片半球あたり20箇所の点を定義した。複数の判定者が、脳表の再構成画像とスライス画像を参照しながら、特徴点の3次元位置座標を抽出し、それらを元に最終的に解剖学的な見地から特徴点の座標を決定した。 ・頭蓋及び脳の形態の分析 (a) サイズ分析 異なる月齢(年齢)の個人ごとに得られた特徴点の3次元座標から、特徴点どうしの距離を求めた。頭蓋及び脳の全体のサイズや特定の領域ごとのサイズの発達曲線を求めた。前頭葉・頭頂葉・側頭葉・後頭葉あるいは脳回それぞれにおいて、成長速度の違いの有無を検討した。現時点の解析では、サイズの発達に関する領域間の違いに明らかな傾向は認められなかった。 (b) 形態分析(プロクラステス解析、主成分分析等) 異なる月齢(年齢)の個人ごとに得られた特徴点の3次元座標から、サイズに依存しない形態のパターンを抽出するために、プロクラステス解析を行った。プロクラステス変換後の特徴点座標に主成分分析を行った結果、特徴点の個人間変動が、両半球の中心溝内側端および左半球のシルヴィウス溝後枝の屈曲点で大きいことがわかった。この結果は、脳領域間のプロポーションは、生後おおむね定まっている一方、個人間で多様性や左右の非対称性の大きな領域があることを示唆するものである。 上記研究に関連して、頭部 MRI 画像における定量的頭表ランドマーク設定法について新たな方法の開発も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初設定した16名の乳幼児の頭部画像から特徴点を抽出し、サイズおよび形態の分析を行い、形態において多様性を示す領域を見いだすに至った。
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Strategy for Future Research Activity |
継続して、分析対象とする画像のケースを増やし、特徴点の抽出を行うとともに、頭蓋及び脳のサイズと形態に関して、他の分析方法も試み、現時点で得られている結果の安定性を検証する。さらに、頭蓋及び脳の発達に関する部位間のヘテロクロニーと、成長拡大のヘテロトピーの性質に関する理論的考察を進める。
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Causes of Carryover |
本年度予定していたケースのデータの処理が予定より早く終了し、そのための人件費(謝金)が発生しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の新たなデータ処理のための謝金として使用する計画である。
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Research Products
(2 results)