2015 Fiscal Year Research-status Report
武道の授業によって生徒の「心」を育む:小規模校で実践する新たな剣道授業の効果
Project/Area Number |
15K12633
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
矢野 宏光 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 准教授 (90299363)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 剣道授業 / 小規模校 / 達成動機 / 自己効力感 / 自尊感情 |
Outline of Annual Research Achievements |
小規模中学校(対象校A)において、CAM(心理学方法論を剣道授業に適用したプログラム)を用いて剣道授業を実施した。その結果、剣道の授業を受講した生徒の自尊感情、自己効力感、達成動機の得点は、授業後に高まったことが確認された。特に生徒の自己効力感(「できる」という見込み感)は、初回の授業に比べ最終回の授業で有意に高い傾向を示した。 また、1回の授業内で変化する一過性の反応を、心理的ストレス反応尺度(SRS-18)とPOMS2を用いて測定した。その結果、生徒のストレス反応(抑うつ・不安、不機嫌・怒り、無気力)は、授業後に有意に低下することが確認された。さらに、POMS2短縮版を用いて生徒の授業前後での気分の変化を測定・分析した結果、AH(怒り―敵意)、CB(混乱―当惑)、TA(緊張―不安)、TMD(総合的気分状態)の4因子おいて、ネガティブな気分が有意に改善したことが判明した。 本研究では、CAMの有効性を検証することを目的にしている。そのため、剣道の体育授業の効果(運動の効果)による影響も確認する必要があったため、剣道以外の体育種目との比較も実施した。 その結果、剣道では授業の初回と最終回で有意差が示されているものの、剣道以外に体育種目では、5%水準以上の有意差が検出されなかった。 このことから、本研究で得られた知見は、運動が生徒の心理的側面の変容に関与しているというよりは、剣道授業による心理的側面への影響である可能性が高いと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究は、計画どおり順調に進展している。 現在、2年目の準備を進めているが、次年度も計画どおりに進むよう綿密に準備をしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はCAMの継続による効果測定を、横断的・縦断的に実施していく予定である。 ・CAMの継続による効果測定 ・生徒間の役割変化による変化の測定 ・学会発表による公表準備 ・知見を論文化する準備
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