2015 Fiscal Year Research-status Report
身体教育の概念とその変遷について:二つの「身体」(生体・媒体)に基づく検討
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15K12635
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
中野 浩一 日本大学, 工学部, 准教授 (40579728)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 言葉と概念 / 「体育」の概念 / 身体教育 / ペスタロッチ / ヘルバルト / 森有礼 / 兵式体操 / 身体の規律化 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度の計画は、①二つの「身体」(生体・媒体)に基づくペスタロッチとヘルバルトの分析、②ペスタロッチ以前の教育学説の検討、③日本紹介以前の欧米におけるペスタロッチ主義とヘルバルト主義の検討、の三つであった。 ①に関しては、平成27年度以前に日本教育学会や教育史学会で発表し、ほぼ完成状況にある。また、「大人と子供の関係史研究会」においても討論を行い、より深い知見を構築しつつある。また、学会への論文投稿を行い、審査中である。 ②に関しては、17世紀のデカルト(Descartes,R.)による心身二元論以降、教育を精神と身体に分けて考えるのが一般化し、ロック(Locke,J.)やルソー(Rousseau,J.-J.)の教育学において身体教育が重視されていることを確認した。しかし、教育区分を知・徳・体の三つに区分し、教育学において身体教育を固有の領域として確立したのはペスタロッチであることも明らかとなった。この点の論考も、先の投稿論文に収めている。 ③に関しては、日本に紹介される以前のペスタロッチ主義に関し、イギリスの大英図書館において資料収集を行い、資料の分析中である。イギリスについて調べた理由は、日本に影響を与えたドイツとアメリカにおけるペスタロッチ主義に関する先行研究は認められるものの、同じく影響を与えたイギリスについてはあまり調べられていないためである。これにより、これまで明らかにされていない知見を得られるため、新たなペスタロッチ研究の展開が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度において、当初の計画上、未検討の部分として、日本に紹介される以前のヘルバルト主義に関する検討がある。この部分は、先行研究が多くあり、資料はそろっているが、その資料による身体教育の検討が行われていない。このため、資料収集の苦労がなく、先行研究を批判することである程度、目的が達成されるので、研究がおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、当初の計画通り、日本におけるペスタロッチ主義とヘルバルト主義の検討に入る。この部分の中で、日本におけるペスタロッチ主義に関しては、平成27年度に教育学者の高嶺秀夫を取り上げた論文を既に発行済みである。しかし、さらに検討する教育学者数を増やし、内容を充実させて行きたい。また、日本におけるヘルバルト主義に関しては平成27年度に教育史学会で発表済みであり、論文審査の段階にある。これらの論文をまとめ、これまでの成果をとりあえず著書として発行することが平成28年度の最終目標である。
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Research Products
(3 results)