2017 Fiscal Year Annual Research Report
The concept of physical education and its transition
Project/Area Number |
15K12635
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
中野 浩一 日本大学, 工学部, 准教授 (40579728)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 言葉と概念 / 「体育」の概念 / 身体教育 / ペスタロッチ / ヘルバルト / 森有礼 / 兵式体操 / 身体の規律化 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、提出した研究計画書によると、ヘルバルト主義以降の身体教育の位置づけと今日的問題点を検討する計画となっている。すなわち、ヘルバルト主義において否定された身体教育がその後、どのように位置づけられていったのか、が課題となっている。 結果として、ヘルバルト主義以降、日本に紹介された欧米教育学説は、社会的教育説、実験教育説、人格的教育説、新カント主義教育説、デューイ説、文化的教育説、振興教育説、民族的教育説などであること、これらの学説では「体育」という言葉がほとんど使用されておらず、使用されている場合でもその概念は身体養護と運動教育であり、身体教育の概念は認められないことが明らかとなった。この成果は『身体教育研究序説』(平成28年、中野浩一、単著、不昧堂)で発表しているので、平成29年度の研究計画は前年度に前倒しの形で達成できている。 しかし、平成28年度に予定していたヘルバルト主義における「体育」について、その概念の多様性とその後への影響に関しては検討が不充分であったため、平成29年度はその点の検討を行った。 この結果、ヘルバルト主義では身体教育を否定するため、「体育」の項目のない教育学書が一般化すること、身体問題は主に医学関係者や体操・体育科教員という専門家の役割とされること、身体問題に関しては専門家に任せることで、学校教育全体としては身体への配慮がなされているように合理化されており、それ以前の三育主義とは相違することが明らかとなった。 この成果を韓国の学術研究団体である東アジア日本学会に「明治期のヘルバルト主義における『体育』-概念の多様性とその後への影響-」と題し、第一著者(第二著者は李吉魯)として投稿した。この結果、原著論文として採択され、『日本文化研究』第64号(pp.25~47、平成29年10月15日)に掲載されたので、研究計画を達成することが出来た。
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