2015 Fiscal Year Research-status Report
水泳研究のパラダイムシフトとなる新たな泳パワーの測定方法の開発
Project/Area Number |
15K12641
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高木 英樹 筑波大学, 体育系, 教授 (80226753)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仙石 泰雄 筑波大学, 体育系, 助教 (30375365)
荻田 太 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 教授 (50224134)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 競泳 / 自己推進時抵抗抵抗 / 余剰推進力 / 推進効率 / 泳パワー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトにおいては、ヒトの水泳運動において最も基本的かつ重要な研究課題でありながら、今日まで未解決であった泳者が自己推進している時の全身抵抗(自己推進時抵抗)を正確に定量できる方法論の開発に取り組んだ。平成27年度は特に測定装置の開発に注力し、計測されたデータの信頼性および再現性を検証することを目的としてプロジェクトを展開した。 測定に当たっては、泳者を回流水槽内で前後方向からワイヤーで固定し、一定のストローク頻度で泳がせながら、回流水槽の流速をある一定の範囲で変化させ、条件ごとに泳者に生じる力を計測することによって、自己推進時抵抗を推定するシステムを用いた。本方法論を用いることで、これまで不可能であった、任意の速度において四肢を駆動させて泳いでいる時の抵抗が推定できるようになった。 計測されたデータの信頼性や再現性について検証したところ、非常に精度よく計測できていることが確認された。また同一被験者を対象に、従来の方法で計測した受動抵抗と新たに計測した自己推進時抵抗を比較したところ、自己推進時抵抗は常に受動抵抗よりも大きく、これまでの先行研究と同様の結果を示した。さらに受動抵抗の場合には、被験者の違いにかかわらず、ほぼ泳速度の2乗に比例して増加していたが、自己推進時抵抗に関しては、被験者の泳技術を反映してか、累乗の係数にばらつきが見られた。 今年度はクロール泳のみを対象として計測を行ったが、他の泳法に応用できることが確認されたので、今後は他の泳法を対象として計測を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおりに、平成27年度内に測定装置の開発を完了し、何度か予備実験を試行することができ、順調に進展した。結果的に6名の被験者について、クロール中の自己推進時抵抗の計測を行うことができた。また計測されたデータの精度や再現性について、検証したところ、当初想定した通りの精度や再現性を達成できており、来年度の本格的データ収集に向けた準備が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度内に測定装置が完成し、精度よくクロール泳時の自己推進時抵抗の計測ができることが確認されたので、今後はクルール以外の様々な泳法についても自己推進時抵抗測定を実施し、種目間での比較検討を行う予定である。また自己推進時抵抗測定と合わせて、泳運動中の呼気ガスを継続的に採取してエネルギー消費量の推定を行い、種目間での機械的効率についても検討を行う予定である。さらにこれらの研究成果を国際的に認知されたジャーナルへ投稿できるように準備を行い、原著論文として投稿する。
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