2016 Fiscal Year Research-status Report
ワーキングメモリの向上によるスポーツ選手の状況判断能力改善について
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15K12661
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Research Institution | Ichinoseki National College of Technology |
Principal Investigator |
高野 淳司 一関工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (70413721)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ワーキングメモリ / 空間認識 / 全身反応時間 / 実行機能 / 経頭蓋直流電気刺激(tDCS) |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度はワーキングメモリの向上が状況判断の諸要素を高めることができるのかということを明らかにするために、20歳以上でボールゲーム経験年数が10年以上でかつ、全国大会規模以上の大会に選手として出場した経験のある者を対象にワーキングメモリを評価する課題としてN-back テストを、空間認知能力を評価する課題としてメンタルローテーションテストを、実行機能を評価する課題としてストループ課題を、さらに方向を指示するランプが点灯した方向にできるだけすばやく両足で跳躍して移動し、ランプ点灯から跳躍開始までの時間を計測する選択全身反応時間の測定を行った。実験開始前、被験者の右前頭前野背外側領域(rDLPFC)には経頭蓋直流刺激装置(tDCS)を施した。rDLPFCに投射されるtDCSは被験者のワーキングメモリを投射後から一時的に変化させることが知られている。 一連の実験は一人につき2回行われ、どちらか1回はtDCSの陽極(anode)刺激、もう1回はSham(疑似)刺激とした。前後半のどちらに陽極刺激を行うかは被験者の人数の半数づつになるようランダムに設定した。tDCSの陽極刺激は2ミリアンペアを20分間とした。ペースメーカーや、骨折時のボルト固定等、体内に金属が留置されている対象者は本研究から除外した。 平成28年度終了時においては対象となる被験者の確保が困難であったため、平成29年度は解析に必要な被験者数をさらに増やしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究初年度(平成27年度)に実験を行う上で、本校にこれまで存在していなかった研究倫理委員会を新たに設置したため、実験開始が当初の予定から大きく遅れた。 平成28年度には本来、実験が終了し、平成29年度には公表という流れを想定していたが、今年度も若干名被験者を増やす必要があり、当初の遅れは多少改善したものの、全体の計画から見るとやや遅れていると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
被験者を補充しての実験継続 学会等での成果発表 論文、報告書作成
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Causes of Carryover |
H28年度は実験被験者への謝金を多く確保していたが、実験協力ボランティアという形で協力を得ることができ、人件費・謝金を確保することができた。反面、実験プログラムの動作が最新OS搭載のパソコンでのみ稼動することが判明したため、急遽ノートパソコンを購入した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は前年度同様にボランティアで被験者を募える保証は無いことから、前年度未使用の金額を繰り越し、実験被験者への謝金に充当する計画である。また、当初の計画通り、学会への参加、論文作成費用にも充当する。
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