2015 Fiscal Year Research-status Report
青少年の「メタ認知能力」に焦点をあてた安全教育方法の開発
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15K12684
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Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
小川 和久 東北工業大学, 公私立大学の部局等, 教授 (00224098)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 安全教育 / 交通安全 / 青年期 / メタ認知能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
青年期にある中高生の自転車行動に焦点をあて,自らの行動に対するメタ認知を意識するような教育プログラムを開発し,その実施と教育効果を測定した。開発した教育プログラム(所要時間約60分間)のシナリオは,自らの自転車走行を振り返ることを主テーマに,次の6つのステップから構成される。①急いでいるときの自転車運転のイメージ化,②自転車シミュレータを用いた他者観察,③危険予測についてのグループ討議,④安全走行の具体的方法についてのグループ討議,⑤動画による他者の自転車走行の観察,⑥行動目標の設定。 高校生210名を対象に教育を実施し,事後アンケートへの回答データに基づき反応水準でのプロセス分析を行った。前述の6ステップの内,多くの高校生が安全運転に役立つと判断したものは,「②自転車シミュレータを用いた他者観察」「⑤動画による他者の自転車走行の観察」「⑥行動目標の設定」であった。このことは,映像教材または教材機器を活用して,他者の自転車走行の姿を観察するという内容に関心が寄せられたことを示唆している。他者観察法(ミラーリング法:他者の行動の姿を鏡にして自らの行動を振り返る)を用いた,メタ認知に働きかける教育的アプローチに対して,参加者の受容度を確認することができたものと考えている。 一方,グループ討議に関する関心度はあまり高くはなかった。また,教育全体の評価結果からは,「研修内容の理解しやすさ」「自転車の安全についての気づき」などについては高い評価が得られたものの,「積極的な研修への参加」については高い評価とはならなかった。メタ認知に焦点をあてた手法を採用しながらも,積極的な参加を促すためのプログラム改良が求められる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の最大の目的である,メタ認知に働きかける自転車教育プログラムを開発し,その完成度を高めたという点において,大きな進展があったと判断している。実際に,高校生を対象に教育プログラムを実施し,プロセス分析に基づいてその適切性を評価するに至った。若干の調整が必要なものの,概ね高評価が得られており,採用している教育的アプローチの理論的な基盤を確認することができたものと考えている。 ただし,教育プログラムの評価方法については,若干の改善が必要だと考えている。参加した生徒の知識・技能・態度の変化を測定するには,現在用いている評価項目では感度が低い。評価指標の改良作業が若干不十分な面もあり, H28~29年度の教育実践においては,もう少し精緻な分析が可能となるよう評価指標を改良していきたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き,メタ認知能力に働きかける青年期向けの安全教育プログラムの開発研究を続けていく予定である。H27年度は,自転車走行の行動の姿を振り返る教育内容であったが,H28年度以降は,意思決定に関わるメタ認知に焦点をあてた教育プログラムの開発に着手する。自転車で通学する,あるいは外出する場面(たとえば,寝坊のため登校する時間が大幅に遅れた場面)をいくつか提示し,自宅から目的地までの要所要所(「交差点通過時」「歩行者側方通過時」など)における行動選択の意思決定(「黄→赤信号でも信号を渡る」など)を振り返るような教育内容とする。一連の意思決定の傾向を客観視するとともに,グループ内の他の生徒と比較することにより,自己の意思決定に対するメタ認知能力を向上させるように働きかけていく。近隣県内の高等学校からの協力を得た上で,高校生を対象に教育を実施する予定である。 一方で,メタ認知能力の変化を測定するための尺度開発を進めていく。効果測定に関わる基礎データの収集に努め,尺度の精度を高めていくこととする。得られた調査結果は,国内外の学会にて公表し,研究成果を共有するものとする。
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Research Products
(2 results)