2016 Fiscal Year Research-status Report
子どもの健康睡眠習慣を目指した「からだを測る」実践の効果検証とプログラムの提案
Project/Area Number |
15K12686
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Research Institution | Nippon Sport Science University |
Principal Investigator |
野井 真吾 日本体育大学, 体育学部, 教授 (00366436)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 教育生理学 / 心身の健康 / 生活習慣 / 睡眠・覚醒機能 / 身体活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,健康睡眠習慣の確立を目指した「からだを測る」実践の効果検証とその健康教育プログラムの提案を目的としている.そのための具体的な研究課題は,1)小学生,中学生の睡眠状況の実態と覚醒水準に関する諸測定値との関連の検討,2)健康睡眠習慣の確立を目指した「からだを測る」実践の創造,実践,効果検証の2点であり,平成28年度は1)の検討をさらに進めるとともに,2)の検討にも着手した.1)の対象は,都内の公立F小学校に在籍する小学4~5年生男子26名,女子24名であり,調査は,2016年10月19・20日に実施された.本研究では,19日夜(9:30pm)と20日朝(6:30am)の唾液を採取するとともに,同時刻の体温測定,19日の身体活動量測定も実施した.また,20日朝のホームルームでは棒反応測定と19日から20日にかけての生活状況調査を行った.分析では,夜と朝の唾液メラトニン濃度を基に,それが「夜>朝」の者と「夜≦朝」の者の割合を確認した上で,夜の唾液メラトニン濃度から朝の唾液メラトニン濃度を減じた値(唾液メラトニン濃度(夜-朝))の予測変数を重回帰分析(ステップワイズ法)により検討した.その結果,「就床時刻」(β=-0.452),「1日総歩数」(β=0.375)が有意な予測変数として抽出された(R2=0.390,いずれの予測変数においてもVIFは2以下).他方,2)では1日総歩数も含めた「からだを測る」実践の予備的検討として,実践群,対照群の睡眠習慣を比較した.その結果,「からだを測る」実践のみでは,健康睡眠習慣を確立するまでには至らない様子が示された.以上のことから,平成29年度に予定されている「からだを測る」実践の本実施では,「からだを測る」ことに加えて,その意義を「知って・感じて・考える」ような保健指導も実施し,その効果を検証することが課題であると考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度に予定されていた研究課題は,小学生の睡眠状況の実態と覚醒水準に関する諸測定値との関連の検討と「からだを測る」実践の予備的検討であった.この内,睡眠状況と諸測定値との関連については,前日の就床時刻と1日総歩数がメラトニン分泌パタンと有意な関連を示す様子を確認することができた.この点は,予定通りの研究成果であり,順調な進展といえる.他方,予備的検討として実施した「からだを測る」実践は,必ずしも予想通りの効果を示すものとはいえなかった.但し,このような結果は想定内のものであるとともに,平成29年度に予定されている「からだを測る」実践の本実施に向けて,その課題も明確にすることができている.以上のことから,本研究はおおむね順調に進展しているものと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策については,当初の計画に大きな変更はない.すなわち,平成29年度は,健康睡眠習慣の確立を目指した「からだを測る」実践の本実施を行い,その効果を検証する予定である.
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