2017 Fiscal Year Annual Research Report
The effects of acute aerobic exercise on memory function
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15K12687
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
紙上 敬太 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 講師(任期付) (20508254)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 運動 / 記憶 / コルチゾール |
Outline of Annual Research Achievements |
動物研究では、グループで運動を行わせた場合、運動が海馬のニューロン新生をもたらすことが示されている。しかし、単独で運動を行わせた場合には、運動のストレスの影響が大きくなり、ニューロン新生が阻害されるようである。本研究は、このような社会的インタラクションの違いによって、運動がヒトの記憶機能に与える影響が異なるのかを明らかにすることを目的としていた。この目的の達成には、運動のストレスによって記憶機能が低下することを示し(研究1)、この運動のネガティブな影響が社会的インタラクション(二人で運動すること)によって軽減されるのかを検討する必要がある(研究2)。 記憶は記銘・保持・想起の3つのプロセスから構成される。先行研究では、記銘・保持プロセスの前後に運動を行わせた場合、記憶機能が向上したことが示されている。一方、ストレス研究では、想起プロセスの前にストレスを与えた場合、コルチゾールの上昇とともに記憶機能の低下が認められている。つまり、想起プロセスの前に運動を行わせた場合には記憶機能は低下するはずである。この点を明示することが研究1の目的であった。 研究1では、30分間の有酸素運動後に想起テストを行わせる運動条件と、30分間の座位安静後に想起テストを行わせる安静条件を設けた。その結果、コルチゾールは有酸素運動後にのみ上昇したにもかかわらず、記憶パフォーマンスは仮説に反し、運動条件と安静条件で異ならなかった。これらの結果から、一過性有酸素運動後にはストレスによるネガティブな影響を軽減する何らかのメカニズムが働いていることが示唆される。 ①サンプルサイズが研究1の仮説に反する結果の原因となっている可能性が考えられたため、時間の許す限りサンプルサイズを増やしたこと、②「運動のストレスによって記憶機能が低下する」という研究1の仮説が支持されなかったことから、研究2に進むことはできなかった。
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