2016 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の状態に応じた片脚立位トレーニング方法の提案とサポート装置の開発
Project/Area Number |
15K12697
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
出村 慎一 金沢大学, 人間社会研究域, 客員研究員 (20155485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 雄 仁愛女子短期大学, 幼児教育学科, 講師 (00749418)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 片脚立ち / バランストレーニング / 高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高齢者の片脚立位トレーニングに際し、高齢者の状態に応じてどのような片脚立位条件の選択が望ましいかを検討するために、各種片脚立位条件における下肢筋活動と重心動揺量の関係性の明確化、難度の序列化、さらにトレーニング時の重心動揺量とトレーニング効果との関連を明らかにするとともに、トレーニング条件や効果を診断できる片脚立位トレーニングサポート装置の開発を目的としている。 今年度は、昨年度完成させた片脚立位計測装置を利用し高齢者を対象に様々な支持条件における片脚立位を実施した。この計測では、各種片脚立位条件における手のタッチ圧、重心動揺量、及び筋活動量を明らかにすることで、各条件のトレーニング効果の推定や難度の序列化等を可能とする。今年度の測定により得られたデータから、手をタッチする位置(前方 or 側方)とタッチ圧条件(強タッチ、弱タッチ、任意タッチ)の組み合わせにより片脚立位時の姿勢の安定性や下肢筋活動量が変化することが明らかとなり、補助方法による難度の序列化に向けた示唆が得られた。しかしながら、その影響は性別や体力水準、転倒リスク等によって変化する傾向に加え、高齢者の集団特性を踏まえたより詳細な解析が必要であることが示された。当初の計画では、今年度は、計測データの結果をもとに、バランス能力評価や片脚立位トレーニング時の適切な片脚立位条件の診断が可能なソフトウエアの開発に取り組む予定であったが、その完成には高齢者の集団特性を踏まえた多様な観点からの検討が必要であり、今年度測定したデータを基により詳細な解析を実施中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題の最終的な目的は、各種片脚立位条件における下肢筋活動と重心動揺量の関係性の明確化、難度の序列化、さらにトレーニング時の重心動揺量とトレーニング効果との関連を明らかににするとともに、トレーニング条件や効果を診断できる片脚立位トレーニングサポート装置の開発である。 当初の計画通り、平成27年度中に、計測装置の試作機を完成させ、種々の片脚立位姿勢時の筋活動および重心動揺量の計測が可能となった。平成28年度中には大規模な測定を実施したことで十分な量の高齢者のデータを得た。得られたデータを解析することで下肢筋活動と重心動揺量の関係性や難度の序列化に関する示唆が得られた。しかしながら、高齢者集団の特性の違い(地域高齢者と要介護高齢者、男性と女性、転倒高齢者と非転倒高齢者等)によりその傾向は異なることも示唆された。片脚立位トレーニングサポート装置の開発に取り掛かるためには、さらに、高齢者集団の特性を踏まえたより詳細な解析が必要となる。平成28年度中には片脚立位トレーニングサポート装置の開発に向けたソフトウェアの開発を実施する予定であったが、様々な身体的特性を有する高齢者の測定に時間を要し、さらにそれら高齢者の特性を考慮したより詳細な検討の必要性が明らかとなった。 以上から“やや遅れている”と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初は片脚立位トレーニングサポート装置の開発を最終的な目的の一つとしたが、平成28年度の結果より、装置開発の前段階として高齢者の各種身体的特性を踏まえたより詳細な検討が必要となることが示唆された。平成29年度は、平成28年度に得られた測定データより高齢者の各種身体的特性を踏まえた詳細な解析を進めるとともに、さらに様々な特性をもつ(転倒経験の有無、体力水準の異なる高齢者等、特に体力水準に劣る高齢者を中心に)被験者を増やす。その上で、高齢者の各種身体的特性を踏まえた各種片脚立位姿勢の難度の序列化を実施し、その結果に基づいてバランス能力評価や片脚立位トレーニング時の適切な片脚立位条件の診断方法を考案する。片脚立位トレーニング実施時の安全性を第一に考えると、これらの成果が得られない限り、片脚立位トレーニングサポート装置の開発は現時点において困難と判断される。
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Causes of Carryover |
研究代表者が、身内の怪我の看病のため、当初参加を予定していた学会を欠席せざる事態となり、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度までに得られたデータの解析が随時進んでおり、これまで得られた様々な成果を発表する準備が整いつつある。成果発表のために旅費(学会参加のため)や出版費として使用する予定である。
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