2016 Fiscal Year Annual Research Report
Relationship between enhanced purinergic signalling in skeletal muscle and health promoting effects of exercise training
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15K12707
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
松岡 功 高崎健康福祉大学, 薬学部, 教授 (10145633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 政明 高崎健康福祉大学, 薬学部, 助教 (30438759)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 運動トレーニング / 骨格筋 / 糖取り込み / P2Y2受容体 / Akt / AMPキナーゼ / Rab / TBC1D1 |
Outline of Annual Research Achievements |
有酸素運動はインスリンに依存しない骨格筋の糖取り込みを促進することが知られていが、そのメカニズムは明らかでない。本研究では、これまでに運動時に骨格筋から放出されるATPが骨格筋自身に作用し糖代謝の改善に関与する事を報告した。本年度はその作用機序についてさらに検討した。 L6骨格筋細胞をATPで刺激するとグルコース輸送体(GLUT)4の細胞膜への移行が促進し、グルコース取り込みが上昇した。このATPの作用はL6細胞のP2Y2受容体をsiRNAでノックダウンすると抑制された。インスリンはL6細胞のPI3キナーゼ経路のAktのリン酸化を促進し、低分子量G蛋白質RabのGAPであるAS160のリン酸化を促進したが、ATPによるP2Y2受容体刺激は、この経路を活性化しなかった。しかし、ATPはインスリンでは作用が弱かったAMPキナーゼを活性化し、この下流で働くRabGAPであるTBC1D1のリン酸化が認められた。また、ATPとインスリンの共刺激は2つの異なるシグナル伝達経路を介してRabの活性化を惹起し、GLUT4の細胞膜移行を相乗的に促進させた。以上の結果から、L6細胞ではATPはP2Y2受容体を介して主にAMPキナーゼシグナルを活性化し、GLUT4の細胞膜への移行を促進すると考えられた。一方、マウスを用いた実験では、運動負荷群の耐糖能が非運動群に対して有意に改善し、血管のずり応力等により血中に放出されて血管機能を調節することが知られているATPは、NAによる血管収縮に対して拡張反応を示したが、その作用も運動負荷群で有意に亢進していた。 以上の結果から、動物においても運動負荷による耐糖能および血管弛緩機能の向上が認められ、この背景にはプリン作動性シグナルが重要な役割を果たすことが示唆された。
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Research Products
(5 results)