2016 Fiscal Year Research-status Report
小児における睡眠の量・質の指標となる生化学的マーカーの開発
Project/Area Number |
15K12721
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
谷池 雅子 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 教授 (30263289)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
毛利 育子 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 准教授 (70399351)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 睡眠不足 / 小児 / スクリーニング / プロスタグランジンD2 / 尿 |
Outline of Annual Research Achievements |
睡眠の評価としては、ゴールデンスタンダードである終夜ポリグラフや脳波に基づいた客観的な眠気の評価である睡眠潜時反復検査、体動のカウントから睡眠覚醒を評価するアクチグラフ 等がある。アクチグラフを除いては子どもに適応するのは難しく、このアクチグラフは高価なために一般小児科医では使用しがたいものである。いずれにしても、睡眠不足についての評価は不可能である。睡眠は様々なメカニズムで引き起こされる生理状態であるが、その中で、プロスタグランジンD2(PGD2)は内因性の睡眠物質であり、髄液中にPGD2が増加すると眠気を誘発する。近年、PGD2 代謝物である tetranor-PGDM が近年測定できるようにな った(Mohri et al. 2009)。我々はこのPGD2量、実際には尿中 tetranor-PGDM が眠気即ち睡眠不足の指標になるのでは、との仮説をもとに、幼稚園児686人の起床時の尿を採取し、 tetranor-PGDMを測定した。現在、450検体を測定し終わった。中間結果では、尿中 tetranor-PGDM に明らかな男女差はみとめられなかった。濃度睡眠時間と尿中 tetranor-PGDM 濃度に逆相関をみとめる群と、睡眠時間が非常に短くても尿中tetranor-PGDM 濃度が非常に低い群が認められた。今後、異常低値のサンプルは再検を行うとともに、残りの検体の測定を行い、尿中tetranor-PGDM 濃度低値群がどのような要因でおこっているのか(夜尿があり正確な採尿ができていない、抗アレルギー薬を服薬中など)の要因を検討し、睡眠時間と尿中tetranor-PGDM 濃度の関係を明らかにする。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在、450検体を測定し終わった。途中、異常低値を示す検体が認められたため、測定機器に問題が無いかを確認する必要が生じたため、予定よりやや進行が遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
残りの検体の測定を完了させる。また、採尿と同時におこなった睡眠関連スクリーニングのための睡眠質問票のデータと比較し、「日中イライラしている」などの行動の問題と尿中tetranol-PGDM濃度との関連を検討し、睡眠不足が行動へ影響している場合に尿中tetranol-PGDM濃度がその指標になるかを検討する。 睡眠障害児の尿中tetranol-PGDM濃度と比較し、カットオフ値を設定する。
|
Causes of Carryover |
いくつかの検体が異常値を示したため、測定機器に問題がないかのチェックを行っていたため、検体の測定を完了することができなかった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
解析が残っている検体の測定のための、試薬費および、LS-MSの使用料として使用する。
|