2016 Fiscal Year Research-status Report
コード化によるハイハイ動作分析手法の開発 -運動学習過程の検証のために-
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15K12724
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
鶴崎 俊哉 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 准教授 (20197768)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 発達 / 運動学習 / ハイハイ / 動作分析 / 分析基準 / コード化 |
Outline of Annual Research Achievements |
乳幼児の行動の中でもハイハイ動作(ずり這い,四つ這い,高這いを含む)は,移動という主体的な行動であり,臥位から二足歩行への橋渡しの意味を持つ。ハイハイ動作に関する近年の研究として時間因子を指標としたものがあるが,運動の質的な要素については検討されていない。そこで本研究では,ハイハイ動作獲得過程における運動レパートリーの数的変化に注目した。運動レパートリーの分析においては動作分析の手法が主体となるが,より客観的な分析を行うために分析基準を明確化しコード化する手法を開発している。 昨年度までに分析画像の撮影方法およびコード化するための基準である「ハイハイ動作分析基準」をほぼ確立し,本年度は分析方法の信頼性の検討を主に行った。まず,分析対象となる動画に協力頂く乳児を20例まで増やし(現在も逐次増加している),コード化を行う観察者も10名まで増員した。その上で,1~2週間隔で撮影された動画を最低3名の観察者で3回ずつコード化し,コードの一致率について検査者間および検査者内で検討を行った。このとき,観察者をこれまで本研究に参加していた経験者群と,初めて参加する群,初めて参加するが事前にトレーニングを受けた群に分類し,事前に簡単なトレーニングを受けることで信頼性が増すことを示した。また,コードの違いから得られた観察された運動の種類についても検討し,学会発表ならびに論文投稿を行った。 さらに次の研究計画として,協力いただいた乳幼児については5歳までの追跡を行い,ハイハイ動作の運動レパートリー変化とその後の発達の関係について検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに,分析対象となる動画撮影の手法を確立し,分析画像の死角を減少させることに成功した。また,20例のハイハイ動作について経時的(1~2週間間隔)に撮影された動画を分析対象として,10名の観察者で開発中の基準を用いたコード化を行い,コードと運動バリエーションについて観察者内一致率および観察者間一致率を検討し,両者が高くなるように基準の修正を行った。これにより,十分に高い一致率が得られた。この研究経過は,日本赤ちゃん学会ならびにThe Asian Confederation for Physical Therapy (ACPT) Congress2016にて発表した。また,開発した「ハイハイ動作分析基準」については論文掲載となり,ホームページ(http://www2.am.nagasaki-u.ac.jp/ptd/tsurusaki/b63f6goh/5.html)でも公開した。
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Strategy for Future Research Activity |
目的としていたコード化による分析手法の開発はほぼ完了したが,公表に関して不足していたので学会発表,論文投稿を行う。 さらに,本研究結果を利用した分析結果と発達との関連に関して新しい研究計画を検討している。
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Causes of Carryover |
研究成果の分析に時間を要したため,成果公表の時期がずれ込んでしまった。 すでに論文の掲載,学会発表は決定している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究成果公表のため,論文掲載料ならびに学会発表に関する費用に支出する。
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Remarks |
研究室ホームページ内に,本研究で開発したハイハイ動作分析基準の公表あり。
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Research Products
(6 results)