2015 Fiscal Year Research-status Report
乳幼児の把握力における成長曲線の検討ー乳幼児用握力計及び筋電図計を用いての検証ー
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15K12729
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Research Institution | Tokoha University |
Principal Investigator |
田口 喜久恵 常葉大学, 公私立大学の部局等, 客員研究員 (40440614)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 俊郎 浜松学院大学, 現代コミュニケーション学部, 教授 (80249242)
齋藤 剛 静岡福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (60413259)
遠藤 知里 常葉大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (90400704)
早川 健太郎 名古屋経営短期大学, その他部局等, 講師 (70740421)
栗田 泰成 常葉大学, 健康科学部, 助教 (30712426)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 乳幼児 / 発育発達 / 運動発達 / 把握力 / 筋力 / 成長曲線 / 利き手 / 一側優位性 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでスポーツ科学において運動発達研究は多くの研究成果が蓄積されている。しかしその研究対象は3 歳以上に限られ、0~2歳に関する研究調査は少ないのが現状である。誕生からの首のすわり、寝返り、おすわり、ハイハイ、つたい歩き、独り歩きという一連の運動発達は筋力と神経系の発達により進んでいき、この過程は運動発達の基盤形成をなすものといえる。本研究は発育発達の連続性からみて、誕生からの運動発達における筋力に着目し、新たに開発した乳幼児用握力計(竹井機器T.K.K.1269r )を用い、非侵襲的手法により、誕生から2歳(一部3歳を含む)までの乳幼児の把握力を調査し、これまで未解明であった握力発達の成長曲線を明らかにするとともに、運動発達経過の機序について検証することにある。 平成27年度は把握力と運動発達のなかで、握力の左右差に注目し、乳幼児(0~3歳)の握力発達と利き手における一則優位性の確立過程を研究課題として進めた。その結果、これまで4歳児以上については、利き手の握力は非利き手より高いとされていたが、0~3歳においても同様の傾向が示された。すなわち、握力発達において,利き手優位現象は早期から出現していることが明らかとなった。また、0歳では両手利きが多く出現し、1歳から2歳にかけて両手利きが減少するとともに、右利きが増加しており、利き手の出現経過は両手>右手>左手となることが示唆された。また今回の調査では、女児は男児より右利き出現が高率で、男児は3歳以降左利きの出現率が高くなるなど、利き手の一側優位性の確立過程に男女の違いがみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の当初計画は、筋電図計を用いての測定実施に向けて、測定方法を検討し確定することであった。共同研究者らとの検討結果、筋電図計と握力計の同期が可能となるよう業者に再設定の構築を依頼し、研究申請時には予定していなかった筋電図計と握力計との同期記録が可能となった。また、2歳女児に対して予備測定を実施し、握力計と筋電図計との同期記録を確認することができた。これにより、次年度に向けて筋電図計を併用しての握力測定の準備を整えることができた。 また平成27年度の乳幼児の把握力調査計画は、対象者の量的拡大を図ることであった。平成27年度はこれまでの保育園、乳児院、F市に加え、共同研究者らの属するY市、O市らに調査協力を得ることができ、乳幼児の握力測定及び運動発達調査を実施した。そのため当該年度で測定対象者数を約500名確保し、測定調査することができた。今回、とくに3、4ヶ月児の対象者を確保することができ、把握力の調査データを増やすことができた。 平成27年度は乳幼児の把握力の左右差に注目し、0歳からの握力発達と利き手における一側優位性の確立過程を中心課題として設定した。その結果は平成27年9月5日第58回東海学校保健学会(於愛知学院大学)において口頭発表を行い、常葉大学保育学部紀要に発表した。また同様の課題で被験者を拡大し、乳幼児0~3歳183名を対象とした測定調査を行い、平成27年度第14回日本発育発達学会(於神戸大学開催)において「乳幼児の握力発達と利き手のおける一則優位性の確立」と題しポスター発表をおこなった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、筋電図計を使用しての予備測定を行い(対象2歳児1名)、握力計と筋電図計との同期が確認できたことにより、平成28年度は実際に年齢別の対象児に対し、握力計と筋電図計を併用した測定を行い、データの収集及び分析を行っていく。また平成28年度の乳幼児の把握力と運動発達研究については、量的拡大を進めるとともに、対象者0~2歳児の年齢別構成人数の平準化を進めていきたい。 研究課題については、平成27年度の乳幼児の握力発達と利き手における一側優位性の確立過程の課題について引き続きデータを収集し、平成27年度の調査結果を踏まえた検証を継続していく。また平成28年度は新たに原始把握反射の消失過程と握力発達経過の課題を設け、設定条件や測定方法を検討し予備調査を進めていく。さらにデータの収集過程で新たな課題が発見されることもあり、それらの課題に向けての検証も進める予定である。 学会発表と研究論文作成に関しては、平成27年度よりさらに拡大をはかり進めていきたい。
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Causes of Carryover |
平成27年は研究開始の年度であり、研究は計画通り進めた。当該年度の研究計画の一つが、筋電図計による測定方法の検討であり、その結果、当初予定していなかった筋電図計と握力計の同期が可能となったが、同期のための接続機器経費が生じた。また、市町の乳幼児健診での測定を依頼し2市の協力を得て測定を実施したが、他県への出張となり出張旅費が予想以上となった。 但し、平成27年度は、人件費、謝金にゆとりをもった予算計画を作成していたことと、初年度のため、データ入力にかかる経費が少なく、人件費、謝金を流用することで補うことがができた。そのため全体では次年度使用金額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度の使用計画に大きな変更はないが、前年度に予備調査をした筋電図計と握力計による測定を本格的に進めていく。研究室での測定を中心とするため、謝金が発生する。また他県への測定出張の回数や学会発表が増えれば、旅費が増加する。但し前年度同様に全体で調整していく予定である。
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Research Products
(4 results)