2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K12739
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
後藤 佑樹 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (70570604)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ペプチド / 主鎖修飾ペプチド / 人工生合成系 / 翻訳後修飾 / 化学修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
生物活性天然物の改変を行った既存の研究では、化合物の構造を変更し、より良い活性や薬物動態を示す者に『改良』するものが中心であった。一方で本研究では、天然には存在しない人工の生物活性を有する天然物様化合物(人工天然物)をゼロから『創製』することを目標とする。人工天然物の候補としては、主鎖にヘテロ環骨格を持つペプチドに着目した。本計画では、1.主鎖に多彩なヘテロ環を含むペプチドの試験管内生合成系の開発、2.この系を用いて作成した化合物ライブラリーから望みの生物活性分子の探索法の確立、を小目標として設定する。これらを順次達成し、任意の生物活性を示す人工天然物の創製手法を構築することを最終目標とする。 平成27年度の研究では、酵素的な翻訳後修飾反応と化学的な翻訳後修飾反応とを組み合わせることで、種々の主鎖修飾型ペプチドの試験管内生合成系の構築に成功した。具体的には、当初の計画通りに、遺伝暗号のリプログラミング法を用いた人工アミノ酸(ハロトレオニン誘導体)を含むペプチド鎖形成・PatD酵素による主鎖アミド結合の脱水ヘテロ環化・化学的な脱ハロゲン化水素反応を経ることで、メチルアゾール骨格を主鎖にもつペプチドの試験管内生合成を達成した。一方、PatD酵素により構築したアゾリン骨格を化学的に還元することで特徴的なアゾリジン骨格の生成にも成功している。これら当初の計画で立案した系に加え、アゾリンを直接的に参加し対応するアゾール環骨格へと導けることも見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画していたメチルアゾール骨格含有ペプチド・アゾリジン骨格含有ペプチドの試験管内生合成に加え、より汎用的な酸化反応を用いるアゾール骨格含有ペプチドの生合成法の確立にも成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度に確立した人工生合成系の最適化と適用範囲を拡げる研究を展開する一方で、当該生合成系を天然物様化合物ライブラリーの構築に応用することで、新奇生物活性分子の探索も実施する計画である。
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