2016 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular mechanism of neuroprotective activity of geldanamycin
Project/Area Number |
15K12743
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西川 俊夫 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (90208158)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ゲルダナマイシン / 神経保護作用 / HSP-90 / ケミカルバイオロジー / 2D-DIEG / プロテオーム解析 / 標的同定 |
Outline of Annual Research Achievements |
ゲルダナマイシン(GA)は、シャペロン蛋白質の一つHSP-90(ヒートショックタンパク-90)の強力な阻害剤として知られている。一方で、ゲルダナマイシンは、低濃度で神経保護作用を示すことも報告されてきた。本研究の代表者らは、GAの構造活性相関研究から、GAの7位に存するカルバモイル基を除去した誘導体カルバモイルゲルダナマイシン(DCGA)も、GAと同様の神経保護作用を示す事を見いだした。GAの7位に存在するカルバモイル基は、HSP-90への結合に極めて重要とされているため、GAの示す神経保護作用には、HSP-90を介さない未知の機構が存在すると考えるに至った。本研究では、DCGAを使ってゲルダナマイシンの示す神経保護作用の新たな作用機構を明らかにすることが目的である。 今年度は、昨年度合成したC-7位とC-17位にビオチンタグを導入した2種類のDCGAを使って細胞抽出液からのプルダウン実験を行った。しかし、両者ともHSP-90以外の有為にプルダウンされるタンパク質は見いだされなかった。次に、HSP-90をクローニングしてGA、DCGAとの結合性を直接調べた。その結果GAとは極めて強い結合が、DCGAとは弱いが、しかし確かに結合が観測された。(以上、井本正哉教授(慶応大理工学部)との共同研究) 更に、プロテオーム解析を実施した。すなわち、蛍光ディファレンスゲル二次元電気泳動(2D-DIGE)を使って、GAとDCGA の投与によるHeLa細胞におけるタンパクの発現量の差を網羅的に調べた。しかしながら、両者に有為な差は認められなかった。(以上、理化学研究所環境資源科学研究センターケミカルバイオロジー研究グループの長田裕之博士、室井誠博士らと共同研究) 以上の結果をより、DCGAの示す神経保護作用は、その結合はきわめて弱いながらHSP-90への結合によって引き起こされている可能性が高いと結論した。この結論は、従来ゲルダナマイシンが示す神経保護作用のメカニズムと同じである。
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Research Products
(10 results)