2015 Fiscal Year Research-status Report
核酸アプタマーを膜外配列として用いた人工リガンド作動性イオンチャネルの構築
Project/Area Number |
15K12745
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
二木 史朗 京都大学, 化学研究所, 教授 (50199402)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | イオンチャネル / アラメチシン / DNAアプタマー / センサー |
Outline of Annual Research Achievements |
膜を介する情報の人為的制御やセンシングなどを目的として、これまでに様々な人工イオンチャネルの創出が試みられている。申請者は、イオンチャネル形成ペプチド「アラメチシン」のC末端側に、膜外配列ペプチドとして「Fe3+により構造変化するロイシンジッパーペプチド」や「Ca2結合タンパク質カルモジュリン由来ペプチド」を連結したハイブリッドチャネルの構築を報告している。これらのチャネルでは、リガンド添加により誘起される膜外配列のコンホメーション変化が、アラメチシンの会合状態に影響を及ぼし、結果的にチャネル電流の増加を誘導することを示している。この結果は、リガンドと結合して構造変化する適当なペプチド配列を「膜外配列」に用いることにより、様々なオーダーメードの人工チャネル・センサー分子が創出できることを示唆する。本研究では、多様なリガンドに対応できるオーダーメードセンサーへの展開を視野に、リガンドとの結合によりコンホメーション変化する核酸アプタマーを膜外領域にもつアラメチシンチャネルの構築を行うことを目的としている。 本研究においては、チャネルを形成するアラメチシンセグメントの高純度で高効率の合成が必要となる。アプタマー部分との結合に関してはクリック反応を用いることが効果的と考えられるために、アルキンをC末端部分に導入したアラメチシンの合成を計画した。アラメチシンは通常のタンパク質中に見られないα-アミノイソ酪酸(Aib)を含有することを構造的特長としているが、α位の立体障害のため、通常のペプチド縮合法ではペプチド鎖の伸長が容易ではない。本年度の検討の結果、マイクロウェーブを効果的に利用することで、高純度のアルキン含有アラメチシンセグメントを高収率で得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、チャネルを形成するアラメチシンセグメントの高純度で高効率の合成が必要となる。アラメチシンはα-アミノイソ酪酸(Aib)のα位の立体障害のため、通常のペプチド縮合法ではペプチド鎖の伸長が容易ではない。検討の結果、縮合剤の検討とペプチド鎖伸長の際にマイクロウェーブ合成を利用することで、高純度のアルキン含有アラメチシンセグメントを高純度で大量に得ることができた。 一方、DNAアプタマー部分の合成に関しては、アラメチシン部分の合成法の解決を優先したため、本年度達成することは出来なかった。今後早急にこれを行い,アラメチシン部分との連結とチャネル活性評価を行いたい。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、アジド基を導入したDNAアプタマー部分の調製を行い、アラメチシン部分との連結の条件検討を行う。得られたアラメチシン-DNAアプタマーコンジュゲートのチャネル活性を、液滴接触法を用いる電気生理学的手法により測定する。リガンド添加によるチャネルの開口状態の変化を確認し,コンジュゲートや測定条件の最適化を行うことで、人工リガンド作動性イオンチャネルの構築につなげる。
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Causes of Carryover |
本年度はアラメチシン部分の合成に注力したため、DNAアプタマー部分の合成に対する支出がなされず、当初予定額よりも減額使用となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は、DNAアプタマー部分の合成を行うとともに、当初計画に沿い、チャネル活性の測定と構造の最適化を図り、最終目標を達成したい。
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