2016 Fiscal Year Annual Research Report
Studies on life span regulation by endogenous substances
Project/Area Number |
15K12752
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
有本 博一 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (60262789)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 寿命延長 / 老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
老化を物体の風化のように避けられない不可逆なプロセスとする見方は過去のものになっている。寿命関連遺伝子群が同定されて以降、寿命研究は科学的な精度を増している。老化も他の表現型と同様に厳密に制御されており、一定の範囲で若返らせることも可能である。また、若さの鍵を握る物質が、生物個体のなかに存在することが次々に報告されている。一酸化窒素NOもそのひとつである(Nudlerらによる報告)。本研究では、NOに由来する内因性化合物と個体寿命の関係を代表的なモデル生物である線虫C. elegansを用いて調べた。 本研究で着目した内因性化合物を線虫に投与すると、再現性良く個体寿命が延長した。また、老化に伴うタンパク質凝集体の蓄積や運動能力の低下が、化合物投与で抑制された。次に、daf-2, daf-16, skn-1, eat-2などの寿命関連遺伝子欠損株を用いて、野生株で観測された寿命延長効果が観測されるか調べた。daf-2, eat-2などには依存が見られなかったため、独立した寿命延長機構を有すると考えられた。 一方、寿命延長の主要な原因としてオートファジーの活性化が知られている。今回注目した内因性化合物の効果とオートファジーの関係を調べるため、atg-5のRNAiを行った条件で寿命測定を行ったところ、寿命延長効果が抑制された。このことは化合物の寿命延長効果とオートファジーが関係する可能性を示唆している。さらに詳しい検討を行うためCRISPR/Cas9法によるオートファジー関連遺伝子のゲノム編集を行って新規変異株を得た。今後は、この株を用いて検討を続ける予定である。
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