2015 Fiscal Year Research-status Report
光親和性プローブとLA-LDI-MSを用いた標的生体分子の結合部位解析法の開発
Project/Area Number |
15K12753
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
北 将樹 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (30335012)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 標的分子同定 / 質量分析法 / 光親和性プローブ / 天然物ケミカルバイオロジー / LA-LDI MS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、標的タンパク質の光ラベル化と酵素消化という2つの操作だけで、プローブと結合した断片ペプチドを選択的かつ高効率に検出できる光親和性プローブの創出をめざした。また蛍光基の特性を活かしたラベル支援レーザー脱離イオン化質量分析法(LA-LDI-MS)を組み合わせることで、標的分子の新たな結合部位解析法の開発を目指した。 テーマ1:LPプローブの設計・合成と機能評価では、リガンドとジアジリンなどの反応基が近接し,アミドピレンが末端に位置した,LA-LDI MS に適用できるピレンプローブ (LP プローブ)を設計,合成し、アミドピレン基がLA-LDI MSおよびMS/MS解析に適用できることを初めて明らかにした(Sci Rep誌に論文発表、2015年)。 テーマ2:標的タンパク質のin vitroラベル化、断片ペプチドのLA-LDI MS解析では、抗腫瘍活性およびアクチン・チューブリン間のタンパク質間相互作用(PPI)を誘導する、海洋天然物アプリロニンAの光親和性アミドピレン誘導体を合成し、標的タンパク質アクチンの光ラベル化を検討した。本プローブはアプリロニンAの強力な生物活性を保持しアクチンと定量的に1:1の複合体を形成するが、光ラベル化反応では溶媒分子ともっぱら反応し、タンパク質との共有結合が形成されないことがわかった。そこで反応性官能基をスクシニル基としたアプリロニンAのアミドピレンプローブを合成し、本プローブを用いて標的タンパク質アクチンの定量的ラベル化に成功した。またLA-LDI MSと分子モデリング計算を組み合わせることで、アクチンにおけるラベル化標識部位を決定できることを示した(投稿準備中)。さらに、アプリロニンAが誘導するアクチン・チューブリン間のタンパク質間相互作用(PPI)について、表面プラズモン共鳴法(装置:Biacore)で定量的に解析し、タンパク質・リガンド間の結合解離定数を明らかにした(Bioorg Med Chem誌、revise中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、LA-LDI MS に適用できる光親和性プローブを合成し、標的タンパク質のラベル化実験を実施できた。研究は順調に実施できている。
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Strategy for Future Research Activity |
光親和性プローブを用いた標的タンパク質のラベル化効率は、リガンド・タンパク質間の相互作用により大きく変化する。今後、これまでに開発したアミドピレンプローブを用いる結合位置解析法を様々な種類のリガンドについて検討し、scope & limitation を明らかにしたい。
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Research Products
(15 results)