2015 Fiscal Year Research-status Report
糖鎖の生体内代謝を追跡する革新的分子プローブの開発
Project/Area Number |
15K12760
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
平井 剛 国立研究開発法人理化学研究所, 袖岡有機合成化学研究室, 専任研究員 (50359551)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 有機化学 / 糖鎖 / 生体分子 / シアル酸 / 代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、未だ全容が不明な細胞内複合糖質の糖鎖代謝に着目し、「どの酵素がどの糖鎖構造をいつ分解するか」を解析できる新しい分子プローブの開発を目的としている。本提案では、糖鎖構造の中でも最も重要で、かつユニークな構造を持つ「シアル酸」の糖鎖からの切断過程を解析できるプローブの創製を目指す。他の糖加水分解酵素に対する分子プローブ創製も念頭におき、一般性の高い分子設計コンセプトを確立することに挑む。これまでの代謝解析プローブは、「プローブの反応性を下げる」ことで、「酵素‐プローブ複合体のlifetimeを長くする」ものであった。本研究は、「プローブの反応性を天然型基質と同程度に維持」し、「安定な酵素‐プローブ複合体を形成させる」という、これまでと異なる設計概念の検証に取り組むものである。これを実現できると考えられる、新しいトリックを組み込んだシアリルガラクトースプローブを設計した。今年度は、このプローブの合成を検討すべく、まずはシアル酸単糖で検討した。設計分子を単純な官能基変換によって、合成することが困難であることが予備検討でわかっていたが、今年度、さらに種々検討したが、やはり目的物を得ることができなかった。そこで、金錯体を触媒に用いるカップリング反応を鍵工程とする、新たな合成法を考案した。これに用いる前駆体の合成にも幾分苦労したが、工程数を要するものの、前駆体の合成法を確立できた。さらに、鍵工程のカップリング反応を試みたところ、目的生成物を得ることに成功した。未だ、収率・選択性の改善が課題であるが、設計したトリックを含む構造を構築可能であることを確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定どおり、合成法の確立にほぼ成功したことから、概ね順調と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、単糖プローブでの機能評価、および設計した2糖型シアリルガラクトースプローブの合成に取り組む計画である。
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Causes of Carryover |
シアル酸単糖プローブの合成法確立に専念したため、生物活性評価を実施しなかった。生物活性評価のための予算を次年度に繰越したため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
バクテリアシアリダーゼの精製酵素を購入し、プローブの機能評価をすすめる。また、ヒトシアリダーゼ酵素を発現し、同様に機能評価をすすめる。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Identification of Nitrogen Signaling Factors that regulate adaptive nitrogen metabolism in fission yeast2016
Author(s)
Xiaoying Sun, Go Hirai, Masashi Ueki, Hiroshi Hirota, Qianqian Wang, Yayoi Hongo, Takemichi Nakamura, Yuki Hitora, Hidekazu Takahashi, Mikiko Sodeoka, Hiroyuki Osada, Makiko Hamamoto, Minoru Yoshida, Yoko Yashiroda
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Journal Title
Scientific Report
Volume: 6
Pages: 20856
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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