2016 Fiscal Year Research-status Report
ケミカルエピゲノミクスを指向したタンパク質メチル化可視化プローブ・阻害剤の開発
Project/Area Number |
15K12761
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
五月女 宜裕 国立研究開発法人理化学研究所, 袖岡有機合成化学研究室, 研究員 (50431888)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島津 忠広 国立研究開発法人理化学研究所, 眞貝細胞記憶研究室, 専任研究員 (10618771)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | エピゲノム / タンパク質メチル化 / 阻害剤 / 検出プローブ / プロテオーム / 翻訳後修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体での複雑なタンパク質メチル化を制御するための基礎研究として、特定のタンパク質メチル化酵素のサブタイプを選択的に認識し、かつ細胞毒性の低い阻害剤の開発が求められている。しかし、従来のタンパク質メチル化阻害剤の開発研究では、精製された1つの酵素及び1つの基質タンパク質のメチル化を指標に、阻害剤の構造最適化が進められてきた。一方、本研究ではProSeAM (propargylic Se-adenosyl-L-selenomethionine) を用いた網羅的メチローム検出系を基軸として、これまで報告例のない基質タンパク質を標的とするタンパク質メチル化阻害剤の創出を目指した。 昨年度 (平成27年度) は、網羅的メチローム検出系における鍵化合物であるProSeAMの合成及び精製法を改良することで、本検出プローブを十分量供給することが可能となった。これらの結果に基づき、平成28年度は、ProSeAMを用いた網羅的検出系に阻害剤候補化合物を加えることでメチル化酵素あるいは基質候補を探索する手法について、更なる詳細な検討を行った。特に、ゲルアッセイにより見出したタンパク質メチル化阻害剤の候補化合物について、LC/MS-MSを用いたプロテオーム解析に焦点を当てた。その結果、我々が開発を進めてきたエピジチオジケトピペラジン型阻害剤の新規標的タンパク質基質の同定、さらにはそのメチル化サイトを同定することにも成功した。これにより、機能解析の進んでいない見逃されたタンパク質基質を標的とするメチル化阻害剤探索法のプロトタイプを確立できたと考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
阻害剤の標的メチル化基質及びメチル化サイトを同定を可能とする一連の実験系を確立することができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度得られた知見を基盤に、新たに見出した阻害剤についてIC50値を算出し、酵素・基質選択制について定量的な知見を得る。また、生細胞を用いた系でのタンパク質メチル化阻害活性についても検討する。
|
Causes of Carryover |
当初計画を効率的・効果的に進めた結果、直接経費を節約しながら、検出系・阻害剤開発研究いずれにおいても順調に進行させることができた。さらに、阻害剤の特性解明においては、これまでと異なる新現象を見出すことにも成功している。これらの新現象をさらに検討し、論文を投稿するための知見を詳細に集めるために、補助事業期間の延長が必要となった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
プロテオーム解析でヒットしたタンパク質についてより詳細に検証するため、個別に発現、精製系を構築する。cDNAの入手、クローニングに掛かる経費、およびタンパク質の精製とそれを用いた諸実験等、主に生物系の実験のために使用する。
|
Research Products
(4 results)