2017 Fiscal Year Annual Research Report
A study on the neural basis of sustained reversal movement
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15K12769
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高木 新 名古屋大学, 理学研究科, 准教授 (90171420)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 光遺伝学 / 後退運動 / 線虫 |
Outline of Annual Research Achievements |
多くの動物において移動運動の大半は前進であり、後退は頻度が低い。前進・後退の切り替え、後退運動の調節には、種を超えて保存された機構が存在する可能性があると考え、本研究を着想した。 本研究では線虫C. elegansが特殊な状況下で長期的かつ持続的な後退を行うことを手掛かりに、この持続的後退運動を制御する神経機構解明を目指した。具体的には、①glr-1遺伝子発現神経細胞群のチャネルロドプシンによる人工的活性化が持続的後退運動を誘発することに注目し、形質転換個体でのチャネルロドプシン発現のモザイク性を利用して、glr-1発現かつnmr-1非発現の11種の非コマンド介在神経細胞に対して、持続的後退と発現細胞の相関を解析した。②培地への高濃度チラミン添加が持続的な後退運動を引き起こすという先行研究の結果から、神経細胞活性化による持続的後退運動への内因性チラミンの関与を考え、チラミン合成能を欠損したtdc-1変異体、および3種類のチラミン受容体遺伝子変異体に対して、上記の光遺伝学的活性化実験を行った。 その結果、①glr-1 遺伝子発現細胞群の光遺伝学的活性化によって引き起こされる長期的・持続的後退に必要な神経細胞としてAVA、AVD、RIMに加えてSMDまたはRMDが候補として絞られた。最終年度は、単一神経細胞でのチャネルロドプシン発現実験を試みたが、適当な形質転換系統が樹立できず、持続的後退に必要・十分な神経細胞の特定には至らなかった。 ②従来の報告から後退促進効果を持つと予想されたチラミンには、glr-1 遺伝子発現細胞群活性化による持続的後退を抑制する効果があり、その作用の一部はアミン作動性塩化物チャネルLGC-55を介すことが明らかになった。興味深いことにLGC-55発現細胞には上述のSMD、RMD が含まれており、今後SMD、RMD各細胞の解析が必要であると考えている。
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Research Products
(2 results)