2015 Fiscal Year Annual Research Report
自由行動下動物のSCN細胞における概日リズム変動のリアルタイム計測
Project/Area Number |
15K12776
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山口 賀章 京都大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (30467427)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 視交叉上核 / 時計遺伝子 / 概日時計 / リアルタイム計測 / ルシフェラーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
ホルモン分泌や血圧変動など、私たちの多くの生理現象は、約24時間周期のリズムを示す。この概日リズムは、脳の視交叉上核(SCN)と呼ばれる小さな神経核が、恒常的に時間情報を全身に発信することにより、形成されている。概日リズムの分子メカニズムは、時計遺伝子Per1やPer2などによる転写・翻訳を介したネガティブフィードバックループ機構である。興味深いことに、これらの発現振動は、概日行動リズムにまで反映される。したがって、私たちは、無麻酔・無拘束下の動物のSCNからPer1とPer2の転写発現をリアルタイムでモニターすることを試みた。 Per1あるいはPer2のプロモーターでルシフェラーゼ(luc)を発現する2種類のトランスジェニックラット(Per1-lucラットおよびPer2-lucラット)のラットSCNに光ファイバーを挿入したところ、Per1-lucラットおよびPer2-lucラットのどちらを用いた場合でも、長期間にわたって明瞭な概日リズムを示す生体発光を計測した。これらの発光リズムを解析したところ、振動の大きさは共におよそ2倍であり、周期長はどちらも24時間であった。しかし、振動のピーク時刻は異なっており、Per1-lucの発光ピークは主観的明期の中頃に、Per2-lucの発光ピークはそれより3時間程度遅れていた。これらのピーク時間の違いは、SCNのサンプルを用いたリアルタイムPCR法による定量によっても示された。 今後は、時差のようなSCNの時間恒常性が破綻するような環境下で、Per1やPer2がどのように変動するかをモニターし、これらの再同調過程や行動リズムとの関連を解明したい。
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[Journal Article] Real-Time Recording of Circadian Per1 and Per2 Expression in the Suprachiasmatic Nucleus of Freely Moving Rats2016
Author(s)
Yamaguchi, Y., Okada, K., Mizuno, T., Ota, T., Yamada, H., Doi, M., Kobayashi, M., Tei, H., Shigeyoshi, Y., Okamura, H.
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Journal Title
Journal of Biological Rhythms
Volume: 31
Pages: 108-111
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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