2016 Fiscal Year Research-status Report
脳活動パターン類似度解析による、ヒト全脳における記憶痕跡の探索
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15K12777
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
中原 潔 高知工科大学, 総合研究所, 教授 (50372363)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | エピソード記憶 / 内側側頭葉 / 自発的脳活動 / グラフ理論 / fMRI |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト被験者において、エピソード記憶を記銘する際の脳活動をfMRIで計測する実験を中心に行ってきた。具体的には、各試行で被験者に物体の写真を1枚ずつ見せ、その物体が物や建物などの人工物であるか、動物や植物などの自然物であるか判別させる課題を行い、その間の脳活動をfMRIで計測した。計測後、各被験者に対して、課題中に見せた写真、または新規写真をランダムな順序で1枚ずつ提示し、課題中にその写真を見たかどうか、確信度を問うテストを予告なく行った。こうして、fMRI実験における全ての試行について、写真を見たことがエピソードとして記銘された試行、記銘されなかった試行とに分類することができる。以上のように取得した脳活動データを解析した結果、以下の2つの結果を新たに見出した。第一に、内側側頭葉記憶システムの自発的脳活動の高まりと、エピソード記憶の記銘成功とが相関することを見出した。第二に、全脳レベルでグラフ理論用いたネットワーク解析を行い、記憶記銘成功時と失敗時との間で脳活動のネットワーク構造が異なることを見出した。以上の結果の一部をNeuroscience 2016 (San Diego, USA)で発表した他、現在2報の論文として投稿準備中である。 この他に共同研究として、fMRIによる知覚学習に伴う安静時脳活動の変化の研究、及び多数の被験者の参加を伴う大規模な社会神経科学研究を行い、それぞれ論文投稿準備中、投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述の2つの中心的な成果を新たに見出すことができた。しかし現在論文投稿準備中であり、論文のアクセプトには至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の中心的な研究成果の他、さらに2報の論文を投稿準備中である。計4報の論文を29年度中にアクセプトされることを目指す。
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Causes of Carryover |
多くの実験結果が得られたものの、現在論文投稿中もしくは準備中であり、英文校閲、投稿料、追加実験等に係る費用が次年度に必要となるため、次年度使用を申請するものである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主に、英文校閲、投稿料、及び査読者から追加実験を求められた場合、実験に係る被験者謝金、消耗品費として使用予定である。
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