2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K12781
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
寺山 恭輔 東北大学, 東北アジア研究センター, 教授 (00284563)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | オソアヴィアヒム / ソ連 / スターリン / 国家総動員 / 軍事知識 / 第二次世界大戦 |
Outline of Annual Research Achievements |
国際環境の悪化する1930年代のソ連において構築が進んだ老若男女を問わない国家総動員体制の中核の役割を担い、国民に軍事的知識の啓蒙、教育を行う組織として1927年に諸団体を統合して設立されたオソアヴィアヒム(国防・航空・化学防衛・化学産業協賛協会)の誕生から独ソ戦争開始までの戦間期に焦点をあて、先行研究の把握と基本的史料の網羅的収集、今後の研究進展のための論文執筆を本研究は目的としている。 2015年度は初年度なので、ソ連時代に行われた研究と、ソ連崩壊後の公文書館史料に基づいた研究をリストアップし、これまでの研究を総括することを目指した。モノグラフの刊行は想定していた通り、それほど多くはないが、表題にはオソアヴィアヒムと銘打たなくても、軍事知識の普及、総動員体制構築のための様々な運動に関する学位論文が2000年代以降のプーチン時代になって比較的多数執筆されていることが判明した。それらの分析を進めている。軍事知識の普及を主眼としていたため国民の諸階層が簡単に知識を習得できるよう様々な分野について、全国各地で膨大な数の小冊子(パンフレット)が刊行されていたことが明らかになった。網羅的に収集するのは非効率的なので、分野ごとの特徴を明らかにすべく系統立てた収集を計画中である。2年次に計画していた文書館における史料収集だが、党の史料館で政治局文書の収集をかなり進めることができた。政府の文書館でもオソアヴィアヒム関連のフォンドから、参照すべきファイルを整理できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一次史料のうち、レーニン図書館に所蔵されているオソアヴィアヒム関連の小冊子(パンフレット)が約1400件にも上ったので、分野ごと(例えば対空防衛、射撃手競技、パラシュート競技、軍事技術、子供への知識普及、オソアヴィアヒム内の活動規定等)に系統立てた収集を計画しているが少し時間がかかりそうである。 ロシア国立連邦史料館のフォンド8355にオソアヴィアヒム関連の史料が集中して保管されている。今回そのフォンドの目録を参照し、参照すべきファイルをリストアップし、次年度以降の研究を準備することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
日本国内では、収集した資料と定期刊行物の分析を行う。今年度予定しているモスクワへの出張では、諸文書館で効率的に史料を収集し、最終年度のまとめを行うための準備をしたい。
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Research Products
(2 results)