2016 Fiscal Year Annual Research Report
Preliminary Research on Socio-Economic Transformations of "Zomia" under the Increasing Influences of China and India
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15K12784
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤田 幸一 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 教授 (80272441)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ゾミア研究会 / 研究ネットワーク / カチン族 / 中国・ミャンマー・インド |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度には、主に2つの成果があがった。 第1に、他の財源も合わせ、「ゾミア研究会」を年度内に12回開催した。研究会を通じて関連分野の研究ネットワークは大きく広がり、かつ同研究会は、東南アジア学会員など関係者に広く知れ渡った存在となった。 第2に、3つの国家(中国、ミャンマー、インド)に分かれて住むカチン族(中国ではジンポー族、インドではシンポ―族と呼ばれる)の主に農村部における調査を3つの国で実施することができたこと。それを通じて、これまでミャンマーと中国(雲南省)に住むカチン族の調査研究に基づく「常識」を今後、本格的に再検討する必要があることが判明した。具体的には、山岳に住み、キリスト教に改宗し、採集狩猟と焼畑を生業としてきたとされるカチン族は、インドでは英国植民地期初期においてすでに、平地農耕民であり、また仏教徒に改宗していたことがわかった。この新たな知見は、今後の本格的な調査研究の出発点となろう。また、3つの国家に分かれて住むカチン族の、3つの国における現在の経済基盤が明瞭になり、有益な比較が可能になったことも大きな成果である。具体的には、彼らの主な経済基盤は、中国ではサトウキビ栽培、ミャンマーでは焼畑による稲作と鉱山労働、インドでは茶園経営であった。 以上、今後のより大型の本格的研究プロジェクトを仕込むための予備的な作業は、本研究によって成功裡に完了したということができる。
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