2016 Fiscal Year Research-status Report
包括的連携価値化による都市の文化的景観づくりと観光まちづくりへの応用に関する研究
Project/Area Number |
15K12804
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Research Institution | Gifu Women's University |
Principal Investigator |
黒見 敏丈 岐阜女子大学, 家政学部, 教授 (60308658)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 文化的景観 / 変化のシステム / 持続的景観管理システム |
Outline of Annual Research Achievements |
研究対象事例ごとの文化遺産の変化のシステムについて以下の点が明らかとなった。 宇治については、覆下茶園-製茶工場(荒茶加工)-製茶工場(仕上げ加工・ブレンディング)-問屋・小売店舗という宇治茶の生産・流通の一体的関係性において、地域性を超えた人とモノの流動の激しさが文化遺産の変化に大きな影響を与えている。つまり、これらの一体的な関係性において地域内の人やモノの流動の割合を一定程度に保つようにコントロールすることにより、宇治の文化的景観の本質価値と宇治茶ブランドを維持することができることが分かった。 岐阜については、城下町に由来する地域内の街路および家屋から岐阜城を頂く金華山への眺望性、鵜匠宅の家屋と鵜飼の舞台となる長良川・金華山(鵜飼の背景としての)との間の道筋における鵜飼文化の視認性の2点が文化遺産の変化に大きな影響を与えている。つまり、城下町地区からの金華山への眺望を阻害する物理的要因のコントロールと鵜飼文化を表象する文化遺産のコントロールにより、岐阜の文化的景観の本質を維持することができることが分かった。 また、両事例とも多くの観光客が訪れる観光地となっているが、観光活動の活発化にともなって、宇治については宇治茶、岐阜については金華山の眺望と鵜飼が市民生活から乖離しつつあり、文化的景観の本質的価値を維持していくためには、これらをもう一度、市民の生活文化の一部にすることが大切となることが明らかとなった。 以上の事例研究を通じ、文化遺産の変化のシステムを解明する手法、文化的景観の持続的景観管理システムの一般化モデルの骨格を概ねつくることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究とは別の受託研究(本学と自治体との連携協定の下での受託研究)が3件あったため十分なエフォートが確保できず、本研究における調査結果の整理、ダイアグラムの作成、一般化モデル構築等が不十分となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
9月実施予定の観光客アンケート調査(宇治、岐阜)の実施を確実にすべく、それまでに昨年度調査結果を十分にまとめるとともに、アンケート調査票の作成等を行う。
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Causes of Carryover |
調査結果の整理のためのに計上していた費用(人件費)が未使用である。 物品費として計上していたタブレット端末について、3台分を計上していたが、使い勝手を確認するために1台のみの購入にとどめたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度実施のアンケート調査にかかる人件費とあわせ、人件費として使用する予定である。 タブレット端末の使い勝手について確認したため、次年度早期にタブレット端末を2台購入する予定である。
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