2015 Fiscal Year Research-status Report
社会思想史学の革新のための萌芽的研究━疑似コスモポリタニズムの再検討を中心に━
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15K12817
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹澤 祐丈 京都大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (60362571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 直人 高知大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (20467856)
佐藤 一進 京都精華大学, 芸術学部, 准教授 (00554312)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 社会思想史 / イギリス / 複合国家性 / コスモポリタニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、次の二つの課題を扱った。第一に、17世紀の内乱に至る一連の思想的論争が、それ以前のテューダ朝以来の論点の継承の側面が強いことを意識して、ステュアート朝成立期の諸論点とそれをめぐる思想家の議論の様相を明らかにした。この点は、従来に思想史学の通史的記述においては十分に意識されていない観点である。例外的には、カトリックとプロテスタントの宗派対立の観点からテューダ朝以来の歴史的過程を記述する一群の研究成果が存在するが、この叙述の妥当性がかなりの程度、限定的なものであることを示した。すなわち、宗派対立が存在したことは事実であるものの、これを争点化しない努力もかなりの程度なされていたことがわかる。例えば、エドモンド・スペンサーやジョン・ハリントンの著作を分析すると、宗派対立の真の理由は、異なる宗派を奉ずることにではなく、統治の混乱として把握すべきという彼らの主張を看取することができた。 また18世紀後半の思想家デヴィッド・ヒュームの『イングランド史』においても、エリザベス期からの言説の断絶だけでなく連続性をも注目されていることが把握された。 第二の課題は、内乱期の思想的課題を、複合国家の観点から分析することであった。17世紀初頭の同君連合の成立が複合国家に関する同時代の言説に与えた影響は大別して二通り存在した。第一の類型は、スコットランド王ジェームズのイングランド王位継承を前提として、スコットランド・イングランド関係の改善を目指すものであった。そしてこの類型の隠された課題として、アイルランド統治をどのように行うかという問題が伏在していることが明瞭に把握された。 第二の類型は、スコットランド・イングランドの関係性そのものをその関係の存在の妥当性にまでさかのぼって検討するものであった。 以上の研究活動のため、シンポジウムなどでの成果発表や内外の研究者との意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複合国家性の問題を考察するために、のちの時代の啓蒙共和国のさきがけのような国境を超える知的交流、なかでもオルデンバークなどの自然科学的な思想家による交流を通史的な記述にいかに取り込むかについてはやや検討が遅れているが、それ以外は順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
第二年度は、17世紀後半の名誉革命期や18世紀初頭の合邦体制の成立期の諸問題を再検討する作業の取り掛かる予定である。
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Causes of Carryover |
物件費において、期限内に購入予定書籍が出版されなかったので、次年度での購入に先送りするため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度での書籍購入費として合算して使用する。
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Research Products
(7 results)
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[Presentation] 政治思想としての歴史叙述2016
Author(s)
佐藤 一進
Organizer
日本イギリス哲学会シンポジウムⅡ(ⅳ)
Place of Presentation
学習院大学目白キャンパス(東京都豊島区)
Year and Date
2016-03-29 – 2016-03-29
Invited
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