2016 Fiscal Year Research-status Report
社会思想史学の革新のための萌芽的研究━疑似コスモポリタニズムの再検討を中心に━
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15K12817
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹澤 祐丈 京都大学, 経済学研究科, 准教授 (60362571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 直人 高知大学, 教育研究部人文社会科学系人文社会科学部門, 准教授 (20467856)
佐藤 一進 京都精華大学, 芸術学部, 准教授 (00554312)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 複合国家イギリス / 思想史叙述 / 歴史叙述 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の研究実施計画では、第一に、名誉革命期における複合国家イギリスに関する議論の分析、第二に、18世紀初頭のそれの分析から、思想史の通史的記述にかかわる課題を析出することを目標としていた。 第一の課題については、名誉革命期の英蘭関係をめぐっては、17世紀中庸の英蘭関係からの継続する問題群が密接に関係していること、そしてイギリスとオランダがひとつの公共空間を形成していたことが明瞭に把握された。また先行研究を渉猟する過程で判明した研究上の問題点は、英蘭戦争をはさむ時期に、英蘭プロテスタント連合、あるいは両国の共和国体制の協同関係の樹立という形での、新しい複合国家の在り方を模索する動きは、狭義の西洋史研究では比較的分析されてきたものの、それを十分に取り込む形で従来の思想史研究が展開されてこなかったことである。この点は、さらに次年度以降にも検討を続けるべき課題として認識された。 第二の課題については、オランダ人マンデヴィルが英国において展開した議論の同時代的な議論の含意を、マンデヴィル研究の展開のためだけでなく、複合国家イギリスの在り方に関する思想史的記述の観点からも、さらに掘り下げるべきことが重要であることが再確認された。この点は、従来のマンデヴィル研究においては、Dekkerや田中敏弘などによって指摘されてきたことであったが、イギリスとオランダの議論の相関性とズレという、より大きな文脈において検討するべきとの結論に至った。この手掛かりとして、英語圏における近年のマンデヴィル研究の進展を参照する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
海外研究者との意見交換が予定通り進まなかったこと、そして出版を予告されていた重要文献の出版が遅れており、予定通り参照することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたり、研究成果のとりまとめに向けて、さらに細部の議論を進めたい。
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Causes of Carryover |
研究課題に密接に関係する書籍の一部の出版が遅れたため、次年度に購入するため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究課題に密接に関係する書籍で、出版が遅れたものを次年度に購入する。
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Research Products
(14 results)