2017 Fiscal Year Annual Research Report
A methodological investigation for the renewal of early modern intellectual history
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15K12817
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹澤 祐丈 京都大学, 経済学研究科, 准教授 (60362571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 直人 高知大学, 教育研究部人文社会科学系人文社会科学部門, 准教授 (20467856)
佐藤 一進 京都精華大学, 芸術学部, 講師 (00554312)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 社会思想史 / 歴史叙述 / J・G・A・ポーコック / ヒューム / バーク / 四ネーション・アプローチ |
Outline of Annual Research Achievements |
第三年度では、研究全体のまとめを意識しつつ、次の二つの分析課題を扱った。第一に、スコットランド啓蒙期における複合国家論の様相を、合邦300 周年を記念してC. Whatley などの個別研究、当該時期の標準的歴史叙述と見なされうるヒュームの『イングランド史』における複合国家性に関する最新の議論やAdam Andersonなどのスコットランド啓蒙思想に属する群小の思想家の複合国家論的な議論の検討を通じて行った。この作業の一環として、(実施が次年度に入ってしまったが)これらの研究課題を考究する海外研究者2名を招聘したセミナーを開催し、18世紀後半における複合国家研究の在り方と、そこから導き出される思想史の通史的記述の在り方につき、集中的に議論を行った。 第二の課題は、研究活動全体のまとめとして、これから必要とされる、イギリスの複合国家性に配慮した社会思想史学の通史案を作成するための議論を行い、社会思想史学の今後の課題の共有を図るとともに、展開的研究の可能性を議論した。その結果、イギリスを素材とする社会思想史に関する新しい通史的記述は、イギリス複合国家性を前提にしつつ、それを構成する各ネーションが分解・分離しようとする遠心力と、その瓦解を食い止めるための求心力を確保する努力との均衡を基軸に叙述されるべきことを具体例に即して確認することができた。またイングランド、スコットランド、アイルランドに着目する従来の三王国アプローチに代えて、それらにウェールズを加えた四ネーション・アプローチが採られるべきことも確認することができた。
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Research Products
(8 results)