2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K12819
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Research Institution | Yamanashi Prefectural University |
Principal Investigator |
佐藤 正幸 山梨県立大学, 公私立大学の部局等, 教授 (90126649)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | キリスト紀年 / 科学革命 / ベネラブル・ベダ / ジェームス・ハットン / 時間観 / 歴史観 / 歴史認識 / 歴史思想史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、アラビア数字が、紀年表記にいつ頃から導入され始めたのかの特定と、その社会文化的・紀年表記的背景に関する調査研究を行った。 1.キリスト紀年が脱宗教化して、世界中で使用されるようになったことを可能にさせた背景として、ヨーロッパで16世紀頃から使用され始めたアラビア数字の存在がある。本年は、ローマ数字がどのようにしてアラビア数字に置き換わっていったのかを、アラビア数字を使用した最も初期の歴史年表である Jean Funck, Chronologia : hoc est, omnium temporum et annorum ab initio mundi usque ad resurrectionem Domini nostri Iesu Christi computatio (Nueremberg, 1545) を中心に、それらの紀年表記法に焦点を当てながら調査研究した。 2.次に、なぜローマ数字からアラビア数字への数表記(numerical notation)の変更が行われたのかの研究を行った。その研究結果として言えることは、16世紀以前まで使用されていたのはローマ数字であるが、この数字は、ゼロという概念表記手段を欠いていた。ところがアラビア数字はゼロ概念とその表記符号を持つので、年表記にはただ4つの数字を羅列するだけという画期的な数表記法を提出したことが挙げられる。 3.アラビア数字の採用は近世ヨーロッパにおける科学革命を可能にさせた重要な背景のひとつである。このことを、ケンブリッジ大学図書館が所蔵する Issac Newton の自筆ノートを中心に調査研究した。 4.アラビア数字の使用とキリスト紀年の世界伝播の関係を調査研究するために、19世紀以降の非キリスト圏におけるキリスト紀年の使用に関して、関連資料の蒐集と調査研究を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に基づき、今後の研究を遂行する。
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Causes of Carryover |
2016年9月に予定していたトルコでの国際会議が、国際情勢急変のため延期となった。そのため、国際会議の前後に予定していた調査研究も含めて、中止せざるを得なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年9月に予定していた国際会議が、2017年度に開催される場合、前年度予定していた国際会議への出席及び調査研究を行う。
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