2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K12819
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
佐藤 正幸 山梨大学, その他部局等, 名誉教授 (90126649)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | キリスト紀年 / 科学革命 / ベネラブル・ベダ / ジェームス・ハットン / 時間観 / 歴史観 / 歴史認識 / 歷史思想史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、キリスト紀年を受容する側が、どのようにしてキリスト紀年を脱宗教化した上で受容してきたかを調査研究した。 ①脱宗教化によるキリスト紀年の導入で最も注目すべきは、明治日本が基督紀元・西洋紀年・西洋紀元・西暦という名称でキリスト紀年を導入したことである。この導入は、いくつか名称表記を変えた後、西暦として定着するのだが、この定着過程を調査研究する。 ②旧共産主義国によるキリスト紀年の受容プロセス:共産主義国家といえどもキリスト紀年を否定して別の紀年を使うことが出来ず、最終的にキリスト紀年を「我らの時代=ナシャエイリ」という表記にすることで、キリスト教色を排除して使用した。この旧共産主義国家型紀年法は、中国では「公元」として導入され1949年に公式に採用された。この公元がいつ頃導入され、どのような形で広く使われるようになったのかの研究を行う。 ③現在、中国と日本・韓国でキリスト紀年の呼称が異なるのは、そのキリスト紀年導入のルートが異なるためではないかというのが、研究代表者の仮説である。本年度は、慶應義塾大学図書館が所蔵する当時の日本と中国で出版された新聞の年月日表記を調査し、併せて当時の中国知識人の書簡(例えば郭沫若)に見る年月日表記を精査することで、この調査研究を行う。④年表記に関して様々な方法が考案されてきたが、現時点では、キリスト紀年から抜け出すことは不可能である。なぜ抜け出せないのかに関して、思想史的な視点から考察研究する。最後に、本研究の成果を、日本語および英語による論文として公刊する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
脱宗教化によるキリスト紀年の導入で最も注目すべきは、明治日本が基督紀元・西洋紀年・西洋紀元・西暦という名称でキリスト紀年を導入したことである。この導入は、いくつか名称表記を変えた後、西暦として定着する。この過程の調査研究に関して、想定以上の時間を要したため、
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Strategy for Future Research Activity |
補助事業期間を一年延長し、研究を完成させる。 平成29年度中に研究データの収集分析を行い、その結果を基に、国際研究集会において発表する予定であった。しかし、アジア関連の研究データの収集分析に想定以上の時間を要した。そのため研究成果のとりまとめを次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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Causes of Carryover |
平成29年度中に研究データの収集分析を行い、その結果を基に、国際研究集会において発表する予定であった。しかし、アジア関連の研究データの収集分析に想定以上の時間を要した。そのため研究成果の発表を次年度に行うこととした。併せて、次年度は、紀年法の資料が豊富な欧州の大学図書館を拠点にして、総括的研究と報告書の作成をおこなうための経費に、未使用額を充てることとしたい。
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