2017 Fiscal Year Annual Research Report
History and the anatomical references of artistic anatomy after 19th centuries.
Project/Area Number |
15K12826
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
加藤 公太 順天堂大学, 医学部, 助手 (80734615)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 美術解剖学 / 美術史 / 医学史 / 美術教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
19世紀と20世紀の美術解剖学の教科書調査を行ない、それらを論文や学会発表としてまとめた。 19世紀美術解剖学はフランスとドイツで盛んに行われ、フランスでは、サルヴァージュ(1812)、ジェルディ(1829)、フォー(1845)、デュヴァル(1881)、リシェ(1890)とパリ国立高等美術学校の講師、同校にゆかりのある人物が継承・更新した。中でもリシェの教科書は後世の引用数が極めて多く、20世紀美術解剖学書の種本となっている。ドイツでは、教科書の引用による継承が行われ、人的ないし学校間の継承は見られなかった。これは拙論「19世紀ヨーロッパの美術解剖学 日本の美術解剖学の前史として」にまとめ、2017年3月に日本医史学雑誌第63巻第1号に掲載された。 20世紀美術解剖学は、ドイツとアメリカで盛んに行われ、ドイツでは美術解剖学書の引用によって歴史が継承され、シダー(1898)から始まり、モリール(1924)、タンク(1953)、バメス(1969)らの教科書で連続性が見られた。中でもバメスは、20世紀美術解剖学書のスタンダードを築いた。アメリカでは、パリ国立高等美術学校で学んだブリッジマン(1923)、その弟子のヘイル(1975)らニューヨーク美術学生連盟の講師陣によるデッサンの体験型講座と合わせて歴史が継承されていたことがわかった。これは、「20世紀欧米の美術解剖学と日本の美術解剖学の歴史」としてまとめ、2017年6月に京都大学で開催された日本医史学会総会で発表した。 19世紀から20世紀にかけての美術解剖学は、19世紀末のリシェに始まり、バメスによって現在の教育の形を維持していることがわかった。教科書調査による歴史の編纂は、様々な美術解剖学書や教育方法が乱立する中で、原典となっている書籍や著者を明らかにするだけでなく、淘汰されずに残る教育方法を知る重要な示唆となる。
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