2016 Fiscal Year Research-status Report
国際美術展の企画テーマと出品作品に基づく「現代美術主題分類システム」の構築
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15K12827
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
藤川 哲 山口大学, 人文学部, 教授 (50346540)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 主題 / 主題分析 / 十進分類法 / 統制語彙 / 現代美術 / 国際美術展 / ビエンナーレ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、現代美術作品の主題分類システムの構築を目的としている。その2年目にあたり、初年度に行った『新潮 世界美術辞典』の項目見出し16,965語をエクセル・ファイル化した成果を受け継いで、本年度は、日本図書館協会の『基本件名標目表』(BSH)から10,937語を別途入力し、また「国立国会図書館件名標目表(NDLSH)」からはウェブ公開されている19,980語分のデータをダウンロードしてエクセル・ファイル上で整理し直し、本システムで利用する主題語の統制語彙表とすることで、作品カード作成時に最適な主題語を選択できる体制を整えた。 作品カードに関しては、福岡アジア美術トリエンナーレの第1回展から第5回展までの出品作品、合計569点について作家名、作品名、主題、作品図版、備考を記したカードを作成した。 並行して、『新潮 世界美術辞典』の主題語分析を通して抽出した問題である、西欧近代美術において物語場面を主題語化したものが多いこと、またそうした主題が、近代以降の芸術表現において減少することについて研究・考察し、2本の論文にまとめた。「クレメント・グリーンバーグの美術批評における物語と時間―文学的効果に対する否定と無限の多様性を持った1つの響き」は、2017年夏頃刊行予定の論文集『時間学の構築2 物語と時間』(恒星社厚生閣)に掲載が確定しており、また、「近代とポスト近代の美術理論における「主題」―Ch. ハリソン& P. ウッド編『理論にみる美術1900-2000』による」は、『山口大学哲学研究』第24巻(2017)、23-51頁に掲載され、YUNOCA山口大学学術機関リポジトリを通じて社会に発信されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
28年度前期中に作品カード800枚の作成を目標としていたが、現実には569枚に留まった。また後期に作業完了を予定していた階層構造化は検討段階で、β版の完成にいたることができなかった。しかしながら、モダニズム芸術における物語的要素の忌避について、美術評論家クレメント・グリーンバーグの批評に即して検討し、また、グリーンバーグを含めた20世紀美術批評全体の中での主題をめぐる理論の変遷について跡付けるなど、理論面での研究において着実な成果を上げた。
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Strategy for Future Research Activity |
ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展の調査を行い、作品データを収集する。β版を完成させ、秋の学会で発表する。年度末に山口にて公開コロキウムを開催して、関係者より意見を聴取し、成果を研究報告書にまとめる。研究成果公開用のホームページも開設する。
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Causes of Carryover |
分類システムβ版の完成に至ることができなかったため、研究会の開催等を見送り、謝金やその他の項目での支出が0となった。これらの繰越金は、最終年度に公開コロキウムを開催することで、より有効に活用できる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展の調査に基づいて、現代美術主題分類システムのβ版を完成させ、秋の学会で発表するほか、年度末に県外よりパネラー3名を招聘した公開コロキウムを開催して意見を聴取し、その成果を報告書にまとめ、研究成果公開用のホームページを開設する。
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Research Products
(1 results)