2017 Fiscal Year Research-status Report
国際美術展の企画テーマと出品作品に基づく「現代美術主題分類システム」の構築
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15K12827
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
藤川 哲 山口大学, 人文学部, 教授 (50346540)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 主題 / 主題分析 / 十進分類法 / 統制語彙 / LCSH / 現代美術 / 国際美術展 / ビエンナーレ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、現代美術作品の主題分類システムの構築を目的としている。主題分類システムのβ版として、日本国内の図書館で広く採用されている日本十進分類法(NDC)と、NDCに先行して米国で考案されたデューイ十進分類法(DDC)、そして近代以前の西洋美術作品の主題分類・記述システムであるICONCLASSを参照し、前年度までの研究成果も踏まえて、0類 抽象(色彩や音など言語化困難な主題)/1類 人間存在を問うもの(宗教含む)/2類 歴史に関するもの/3類 同時代の社会や政治・経済に関するもの/4類 物語に関するもの(文学的典拠を持つもの)/5類 芸術自体を主題とするもの/6類 表現技法の追究や新手法の提案(科学的探究含む)/7類 自然に関するもの/8類 言語に関するもの/9類 (調整のための空域)、を基本枠組みとして、作品カードの分類を行った。 各「類」の下位区分である「綱」や「目」の設定に向けて、本研究では、『新潮 世界美術辞典』の項目見出し、日本図書館協会の『基本件名標目表』(BSH)、「国立国会図書館件名標目表(NDLSH)」のエクセル・ファイル化によって、統制語彙表の構築と件名標目の分析を進めてきた。そうした作業の進捗状況を踏まえて、図書館情報学の専門家より「米国国会図書館件名標目表(LCSH)」の有用性についてご教示頂くことができ、現在は、LCSHの構成を詳細に分析することで、各カテゴリーの適用可能範囲を記述する「スコープノート」や、地名、時代名など「主題語」となると同時に、主題を限定する「件名細目」ともなりえる語の扱いの解決策を参照して、現代美術主題分類システム(β版)のブラシュアップに取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
H28年度までの研究により、現代美術における主題分類の可能性について理論的な展望を確立できた。だが、H29年度に入ってシステム構築の実作業に取り組む中で、さまざまな困難に直面している。最も大きな壁の1つが時間不足であったが、この点は、科研の補助事業期間延長申請を行って1年の延長が認められたので、現在、さらに注力してH30年度内の研究完了を目指している。
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Strategy for Future Research Activity |
H29年度、ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展の調査を実施したが、作品カード作成が未完のため、先ずこれを完了する。研究成果公開用のホームページについては、学内のサーバーにバーチャルホストが登録済みであるので、随時公開作業を行う。β版のブラシュアップ作業を完了し、H30年度こそは秋の学会で発表したい。さらに、年内に山口にて公開コロキウムを開催し、関係者より意見を聴取して改訂作業を行い、研究報告書を3月中にまとめる。
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Causes of Carryover |
やむを得ない事情により、年度の後半は予定していた研究計画の遂行ができなかった。補助事業期間延長申請が承認されたので、平成30年度にあらためて本年度行う予定だった残りの計画を実行し、完了させる。
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