2015 Fiscal Year Research-status Report
名所図会に記された「名宝」の研究―統合目録の作成、現存作例の同定を主軸として―
Project/Area Number |
15K12828
|
Research Institution | Onomichi City University |
Principal Investigator |
市川 彰 尾道市立大学, 芸術文化学部, 准教授 (80633106)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 名所図会 / 京都 / 名宝 / 目録 / 同定 / 都名所図会 / 拾遺都名所図会 / 都林泉名勝図会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、京都をそのフィールドとする『都名所図会』『拾遺都名所図会』『都林泉名勝図会』という三件の名所図会をテクストとし、各書に記された「名宝」に関する諸情報を分類・整理し、最終的には統合的な目録を完成すること、また個々の「名宝」を現存作例と照合して同定することを試みるものである。 平成27年度においては、各年度に継続的に行う先行研究の収集とともに、前年度までの個人研究で進めていた『都名所図会』に関する諸作業の精査を行いながら、『拾遺都名所図会』『都林泉名勝図会』の精読と抜粋、諸情報の分類・整理を行い、テクスト毎の暫定的な「名宝」目録の作成を行った(『都林泉名勝図会』に関しては作業途中)。 また、上記の各書別の暫定的な「名宝」目録をベースとして、先行研究の蓄積に広くあたりながら、同定作業を試行的に行った。この同定作業については、確実あるいは暫定的に同定可能なもの、現時点では同定不可能なもの、同定には至らないが形式・様式などが類推可能なものを弁別して目録に収載していくことを期し、難航している部分もあるが、作業を進めた。さらに、特別公開などの時機を捉えつつ、テクストに収載される寺社仏閣またそれらに関わる展覧会などに赴いて、寺院が発行する寺宝目録や展覧会図録などの刊行物を収集するとともに、可能なものに関しては実見の機会を得た。これらの同定作業及び実地調査によって得られた情報に関して、未だすべてを網羅するには至っていないが、「名宝」目録に反映させる作業を併せて行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の大きな柱である現存作例と照合しての同定作業について、予測以上に難航している。その理由として、例えば、寺院からの仏像の流出によって現存作例の追跡が容易でないこと、情報として記される制作年代や作者の伝承などと齟齬が見られ、同定するに足る根拠が不十分な場合があること、限られた情報から様式などを推測する困難さなどが挙げられる。今後、より早い段階で、今後の作業方針を含めて各分野の専門家等に助言を請うこととして、作業の進度を復調させたいと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成28年度前半については、『都林泉名勝図会』の精読と抜粋、諸情報の分類・整理、「名宝」目録の作成に集中的に取り組む。そして、今年度半ば以降に計画している、各書から得られた情報を統合する目録の作成に渋滞無く着手できるようにしたい。 また、今年度は実地調査を本格化させながら、同定作業に取り組むことを計画しているが、その作業を進める前に各分野の専門家に助言を請うこととして、効率化を図るなど作業の進度を保つこととしたい。
|
Causes of Carryover |
購入を予定していた書籍(古書)が想定していたよりも高額であり、平成27年度での購入を断念したために差額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
先行研究の収集のため、平成28年度の物品費と合算して使用する。
|
Research Products
(1 results)