2017 Fiscal Year Annual Research Report
A research on famous treasures described in Meisho-zue, by means of making up integrated list and identification of existing treasures
Project/Area Number |
15K12828
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Research Institution | Onomichi City University |
Principal Investigator |
市川 彰 尾道市立大学, 芸術文化学部, 准教授 (80633106)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 名所図会 / 京都 / 名宝 / 目録 / 同定 / 都名所図会 / 拾遺都名所図会 / 都林泉名勝図会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、十八世紀後半の京都における多様な美術動向の基盤となった「名宝」をめぐる環境の様相を、数量及び内容の両面から具体的に解明することである。この目的を達成するために、事前の調査研究により一定量の情報を網羅すると判断された秋里籬島の編著になる『都名所図会』(安永九年(1780)刊)、『拾遺都名所図会』(天明六年(1786)刊)、『都林泉名勝図会』(寛政十一年(1799)刊)をテクストとして設定し、研究期間を通じて、目録化と同定作業を主軸として研究を進めた。 平成29年度においては、前年度に引き続いて先行研究の収集を行うとともに、すでに暫定版を作成していたテクストごとの「名宝」目録を精査し、さらにそれらを統合する作業を行った。この統合の結果、明らかに重複するものをまとめ、『都名所図会』から1,051件、『拾遺都名所図会』から784件、そして『都林泉名勝図会』から1,045件を抽出し、合計2,880件を数える統合目録を完成させることができた。 また、目録化作業と並行して、先行研究の豊かな蓄積に広くあたり、また特別公開の機会を捉えるなどして、社寺などの所蔵先に赴いての実地調査を通して、個々の「名宝」を現存作例と照らし合わせて同定する作業を試み、その結果を先の統合目録に反映した。より具体的には、前述の2,880件のうち、1,481件の「名宝」を<確実あるいは暫定的に同定可能なもの>と判断し、また、<確実に滅失したもの>や<様式・形式などを類推することが可能なもの>を含んで<現時点では同定不可能なもの>を1,399件とした。全てを同定することは不可能であることは予測していたが、実際に半数に近い件数を今後の調査研究に委ねてしまう結果である。しかしながら、今後の研究方針を検討し、計画を立案する際の大きな糧を得ることができたと考えている。
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Research Products
(1 results)