2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K12829
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
関根 浩子 崇城大学, 芸術学部, 教授 (10553589)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 彩色木彫 / ヴァラッロ / ピエモンテ州 / ロンバルディア州 / ルネサンス |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の全体構想は、ヴァラッロのサクロ・モンテの各礼拝堂内の最初期(15世紀)から現在に至るまでの彩色彫刻群の全体像と、それらの造形的・技法的特徴や変遷等を明らかにすることにより、美術史上への正当な位置づけを行うことを目的としている。本研究は、その全体構想のうち、①として、最初期の彩色木彫群に焦点を当て、それらの誕生の必然性や造形的・技法的特徴等の解明を行うことを目的としている。また②として、ルネサンス以降、彩色彫刻全般が等閑視されるようになった理由や経緯を解明し、そうした評価の妥当性を再検証することで、ヴァラッロの彩色彫刻群の再評価と美術史上への定位を目的としている。 平成29年度は、下記の「進捗状況」で遅れの理由を挙げるように、本挑戦的萌芽研究の課題と多少とも関係する著書『サクロ・モンテの起源―西欧におけるエルサレム模造の展開』の出版作業がにわかに生じたことや、担任業務としての夏季休業期間中の長期のヨーロッパ研修の引率など業務が多忙で、当該年度に予定していた課題を思うように遂行できなかった。平成29年度に実施できたのは、研究課題に関連する文献の収集(購入)と、アルバイトの補助によるデータ整理(特に現地で撮影によって複写させて頂いた複数の古文献の写真画像の濃度・コントラスト調整、並びにそれらの出力作業など)のみであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
一つは、平成28年度に(公財)花王芸術・科学財団に申請していた研究書の出版助成が採択され、最終研究年度であった平成29年度内に書籍を出版することになり、平成29年度の研究課題の十分な遂行が出来なかったためである。 もう一つの理由としては、海外調査を予定していた夏季休暇に勤務先の担任業務(学生のヨーロッパ研修の長期引率)が入り自身の海外調査が実施できなかったことや、勤務先の果たさなければならない諸行事が数多く発生したことが挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に実施する予定であったイタリアでの現地調査1回を実現させて未見の作品を実見して回り、平成29年度に取り組む予定であった課題に関する文献収集や、遅れている②の彩色彫刻に対する批評の変遷調査、並びに調書作成・修正、写真や文献等の整理・入力作業に力点を置くようにしたい。 最終年度の研究予定は以下の通りである。 ①彩色木彫群調査:未調査の彩色木彫や「コンピント」群像等の現地調査:ヴェルヴァーノ県(マセーラのサン・マルティン教会)、パヴィーア県(ガンボロのサン・パオロ教会)、クレモナ県(クレモナの司教館)、レッコ県(ベラーノのサンタ・マリア大聖堂)など、また場合によってはヴァラッロのサクロ・モンテ管理事務所を再訪し、修復後の画像データ提供を依頼する。また「コンピアント」に関する先行研究調査や文献収集・参照を実施するとともに、ヴァラッロのサクロ・モンテの彩色木彫との接点や関係を考察する。 ②彩色彫刻に対する批評の変遷調査:過去3年間の遅れを取り戻すべく、文献や資料収集を行って、彩色彫刻に関する言及箇所の洗い出しに努める。 ③研究成果の公開:可能な限り口頭や論文等による成果の公開に努める。
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Causes of Carryover |
平成28年度に(公財)花王芸術・科学財団に申請していた研究書の出版助成が採択され、最終研究年度と重なる平成29年度内に書籍を出版することになり、本年度の研究課題の遂行が思うようにできなくなったことや、海外調査を予定していた夏季休暇中に勤務先の担任業務(学生のヨーロッパ研修の長期引率)などの諸行事が入り、自身の海外調査が実施できなかったためである。
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