2016 Fiscal Year Research-status Report
映像表現と古典的修辞技法との対応関係の情報学的分析
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15K12831
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
小田 淳一 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (10177230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 満 尚美学園大学, 芸術情報学部, 准教授 (90212828)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 映像表現 / 修辞技法 / 芸術表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.分析用データの追加:(1) 2016年度にデジタル化した,西洋古典修辞学の集大成であるデュマルセの『転義法概論』(1730年)の翻訳を開始し,修辞技法オントロジー構築のための基本単位を抽出した。(2) 2016年度にCM総合研究所から入手した,2008年度から2015年度までのモニター調査によるCM好感度ランキングのデータのうち「好感度の高いCM」57点について,各CMのカット数及び各カットの実時間(小数点以下の秒数を含む),セリフやナレーション,また各CMの継続時間中にBGMなどの音楽が含まれている「音楽率」を抽出した。(3) 2016年度に,各カットで用いられているサイズ,アングル,カメラワーク等の情報を抽出した『NHK紅白歌合戦』の1960年代の映像について,新たに各カットで歌われているテキストを起こして追加した。 2.分析手法に関する情報収集:映像技法を関数表現で記述するための参考データとして,映像表現のマークアップ記述が可能なTVML(TVprogram Making Language)の専門家である千葉工業大学の真部雄介准教授の研究室を訪問し,ソースの入手・インストール方法やサンプル例などの情報を収集した。 3.国内学会での報告:上述した『NHK紅白歌合戦』のデータについて,ネットワーク概念を用いたサイズ,アングル,カメラワーク間の関連性の分析を,2016年6月の人工知能学会全国大会において査読付き論文として報告した。 4.国外学会での報告準備:最終年度である2017年度にフランスのポンピドゥー・センター・メスで開催予定のシンポジウムにおいて,本研究で得られた知見を,日本の実験映画の独創性を主テーマに,撮影技法と修辞技法との関連において報告するための打ち合わせを,パリ第8大学のパトリック・ナルダン氏と行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
追加収集したデータが大量となったため,その分析用データ及び分析に予想以上の多くの時間を要し,修辞技法及び映像技法の関数化を行うためのオントロジー化作業がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今までに収集した映像作品において,本研究が最終的な分析対象としている要素間の修辞的関与性について,それらがより顕現していると思われる実験映画ジャンルに焦点を絞り,2018年3月に開催が予定されているポンピドゥー・センター・メスにおけるシンポジウムで招待講演を行う。
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