2016 Fiscal Year Research-status Report
変容する表現メディア、インターフェースとしての身体性研究
Project/Area Number |
15K12838
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
北村 明子 信州大学, 学術研究院人文科学系, 准教授 (40334875)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 身体論 / 舞踊舞台芸術論 / メディア論 / 振付・演出論 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、海外研究者を東京、松本(信州大学、他)に招聘し、リサーチ・クリエーションとして、30分の舞台作品のための、身体の運動とサウンドモーフィングのリサーチ実験を実施。舞踊振付言語と音楽環境における芸術性をより深めるための実践研究を進めた。 前年度の研究結果を踏まえ、カメラトラッキングによるモーションキャプチャーの精度や、サウンドモーフィングシステムの実践研究の実験を、6つのシーンに分けて検証。身体語彙が持つ運動スペース、運動の速度とスケール、継続する時間、等様々な視点からパラメーターを検証し、音楽の素材と構成の仕組みを再検討した。 実践研究を進める上で課題となったことは、テクノロジーの機構に身体を当てはめていくのではなく、あくまで、生身の身体をインターフェースと捉えた環境で、音楽、映像テクノロジーなどをいかに有機的に接続していくかであった。3週間の研究者招聘レジデンスでは、身体語彙や音楽素材の再精査、新たな環境ごとに必要となるモーションキャプチャー、及びモーフィングシステム計算方法の確認、表現におけるインプロフィゼーションの意義とその演出的効果、についてそれぞれ検証を重ねて実験を実施しその成果を得ることができた。その結果を舞台作品として試験的に国内研究会にてプレゼンテーションし、2017年1月、ジャパン・ソサエティNYにて舞踊作品として発表し、各専門研究家、振付家、批評家やメディアから有意義なフィードバックを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は前年度、コンコルディア大学(モントリオール)を中心とする海外研究者との交流を深めた結果、本研究に必要となる共同研究者らとのネットワークが広がり、さらに、国内にてその実践研究を舞踊作品として昇華しつつ進めることができた。研究代表者がもつ国内の舞台技術ネットワーク人材や研究者と、招聘者をはじめとするコンコルディア大学の研究者らの接続を果たし、海外との共同研究作業がチーム体制で可能となったことは、研究内容を推進する上で大きな前進につながった。前年度行ったシステム構築から、次なる段階として舞踊・音楽表現の芸術性に焦点を当てた研究を国内にて進め、研究会にてプレゼンテーションし、フィードバックを得ることができた。また、その結果をNY ジャパンソサイエティーにて発表することができ、多くの研究者、専門家、批評家に提示し、多くのフィードバックを得ることができたことは大きな収穫となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究成果とフィードバックを踏まえ、構築されたシステムの中で、芸術表現における即興性をどのように扱うかが大きな課題となる。本研究におけるインターフェースとなる身体の表現の一回性と、そのリアクションとして生み出される音楽、映像のコンテンツのリアルタイム性の意義を探求する。また、本研究においてもっとも重要である、生身の人間の身体の繊細さを、テクノロジーがどこまで浮き彫りにし、その有機性を生かすことができるのか、という問題について、を引き続き具体的な実践研究を基盤として探求していく。
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Causes of Carryover |
研究経費を節約したことで少額、次年度への使用額が生じたが、概ね計画通りである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度計画した研究経費に、平成29年度の支給額とともに当てていく。
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Research Products
(6 results)
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[Presentation] TranSenses2017
Author(s)
北村明子, Navid Navab
Organizer
17th Contemporary Dance Showcase: Japan + East Asia
Place of Presentation
Japan Society NY, ニューヨーク、アメリカ合衆国
Year and Date
2017-01-06 – 2017-01-07
Int'l Joint Research / Invited
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