2015 Fiscal Year Research-status Report
日本の歴史的典籍に関する国際的教育プログラムの開発
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15K12850
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
飯倉 洋一 大阪大学, 文学研究科, 教授 (40176037)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 歴史的典籍 / 画像データベース / 変体仮名 / くずし字 / くずし字学習支援アプリ / 和本リテラシー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、日本の歴史的典籍の画像データベースが飛躍的に整備されていく中で、海外の日本研究者や理系の研究者が、画像データベースを有効に活用するために、古典籍の解読に欠かせないくずし字学習を行うための教育プログラムを開発しようとした。 そのための具体的な方法として、第一に、海外にいながらにしてくずし字解読の学習ができる、モバイルアプリを開発した。研究チームは月1回の打ち合わせを行い、くずし字学習支援のための、適切な解説と、変体仮名・くずし字の収集、および学習プログラム、さらには、くずし字コミュニティの創生のためのつながる機能について検討を重ね、2月18日に、無料アプリ(愛称"KuLA")としてiOS版とアンドロイド版をリリースした。3月末現在、海外を含め、1万人以上がダウンロードをしており、アプリ使用者の評価は非常に高い。本アプリについてはNHK、朝日新聞、日本経済新聞ほかで取り上げられた。 第二に日本の歴史的典籍を研究し、また教育の素材として使っている研究者を、イギリス・ドイツ・フランス・アメリカ・韓国・タイ・ニュージーランドから招き、その教育実践について報告をしていただく国際シンポジウム「読みたい!日本の古典籍―歴史的典籍の画像データベース構築とくずし字教育の現状と展望」を、2月17日に大阪大学で開催し、125名の参加を得た。ここで前述のくずし字学習アプリも発表されたほか、古地震研究における古文書解読の必要性や、変体仮名の文字コード標準化、海外の大学でのくずし字教育などについての発表があり、それらについて非常に有益な意見交換が出来た。 本研究は、日本の歴史的典籍の画像データベースを、少しでも多くの方に使っていただく一助として、くずし字学習支援プログラム開発という視点から展開したが、目論見以上の成果と反応を得たと自負している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国際シンポジウムの開催が成功したこと、くずし字学習支援アプリが完成し、リリースしたことは、順調な進展といえる。シンポジウムの参加者が125名と盛会であり、充実した議論が行われたこと、くずし字学習支援アプリが1万を超えてダウンロードされ、大いに利用されており、評判も上々であることを考えれば、期待以上であるともいえる。
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Strategy for Future Research Activity |
くずし字学習支援アプリのブラッシュアップを行い、新しいバージョンでのリリースを行う。またくずし字学習支援アプリの使い方や、使用者の報告、和本リテラシー教育の展望を含めた、一般読者向けの書籍を刊行する予定である。
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Causes of Carryover |
大阪大学から国際シンポジウム開催支援を受けたため、シンポジウム参加者の旅費をそちらでまかなうことができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
くずし字アプリに関する海外発表のための旅費および、くずし字アプリに関する書籍刊行に関する費用に用いる。
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Research Products
(6 results)